若者のドンチャン騒ぎでシャッター商店街に活気を――大阪「セルフ祭」にみる好例

「UFOの儀式」意味不明な出し物のオンパレード

「セルフみくじ」

 出店者の大半は、普段は会社勤めをしているサラリーマンやOL、自営業者など。祭りの前日に急に出店を決めた人もいて、全体的にとにかくユルい空気が漂っている。出店料は「セルフ料金」のため、各自が払える金額を支払うのみ。スタッフが文化鍋を持って出店ブースを巡回し、その場で適当な額の現金を鍋の中に放り込む。

参加者全員による記念撮影「人並べの儀」

 タイムテーブルは「人並べの儀」、「本日の儀式」、「一芸大会」、「本日の相撲」、「UFOの儀式」などで、意味不明過ぎてどこからツッコミを入れたら良いのかわからない。「人並べの儀」は仮装した人たちが一カ所に集まって記念写真を撮るもので、「本日の儀式」は仮装者が近隣の歩道を一列になって練り歩くもの。まさに百鬼夜行。「一芸大会」は仮設ステージで歌や踊りなどを披露するものだった。

一応、タイムテーブルが存在するのだ

「本日の相撲」は参加者同士で相撲を取るのかと思いきや、赤鬼と青鬼のような化け物に扮した演者が、土俵の上で暴れたり切腹したりする前衛的な芝居を延々と行っていた。「UFOの儀式」では、金色の土偶に仮装した人物が「みんなでUFOを呼ぼう!」と叫び、会場一体となって両手を天に向かって上下させた。

まったく意味不明の「本日の相撲」

 一体、この祭りは何をしたいのか? セルフ祭実行委員会の会長を務める絵描きのコタケマン氏(36歳)によると、セルフ祭は2012年6月に始まって以降毎月行われていたが、2013年から年1回の開催となり、今年で11回目を数える。

一発芸大会も出演者がやりたいことだけをやり、観客も特に笑わずそれを眺めているだけ

次のページ
「そしたらもう、セルフでやって」
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会