タイ国民に広く愛された国王崩御。現地記者が見た街の様子

 国王の崩御でなにか混乱があると予測していた人々が拍子抜けするほど、タイは国王崩御による大きな影響は今のところない。企業や商店はいつも通りに営業しているし、電車などの公共交通機関も通常運行している。道端にはいつも通りに物乞いが座り込んで、カップに小銭を恵んでもらおうとしているくらい、以前とまったく変わりのない時間が過ぎている。

14日、国王の棺が病院から王宮に移送されるところに参列するためにたくさんの人が王宮方面へ移動していた。運河を走るボートも定員オーバーで走り続けた

 いつもと違うのは街中を歩く人々が喪に服すために黒あるいは落ち着いた色の服装になっていること。アルコール販売が自粛の方向になっており、バーなども深夜0時で閉店している(通常は2時まで営業可能)。FacebookなどSNSでタイ人たちがアップする写真がモノクロになっていたり、街中の広告などが白黒になっている。これくらいしか変化はなく、物資の運送が滞ってスーパーなどで買い出しをしておかなければならないということもない。  タイには王室に関する不適切な発言をすると逮捕されるなどの不敬罪がある。そのため、タイ国内のメディアは王室に関する発言はかなり慎重であった。そんな中、6月の手術以降容態が安定しないニュースが目立つようになり、崩御4日ほど前にはかなり危険な状態であることが報道され、在住外国人の間では「タイのメディアがこのような報道をするということはかなり危ない」という認識が以前からあったのもこうした落ち着きの要因かもしれない。

13日タイ時間19時に始まった放送でプーミポンアドゥンヤデート国王の崩御が伝えられた

 13日になり、夕方には非公式ながら国王崩御の情報がSNSなどを通してタイ人の間で一気に広まり、同日19時(日本時間13日21時)に全チャンネルが一斉に政府の放送に切り替わり、崩御が公になった。
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