トヨタが畜産向け堆肥化促進剤の改良型を販売開始。共同開発のタッグ相手はコンタクトレンズのあの企業

 2006年当時、日本国内では年間8,900万トンの家畜排せつ物が排出されており、2004年11月の「家畜排せつ物法」(野積み・素掘りの禁止等)の完全施行以降、畜産農家では適切な処理に多大な労力がかかるという課題があった。  課題解決として両社が共同開発したのが、「resQ45」である。2006年7月から、効率的で環境にやさしい畜産向けたい肥化促進システム「resQ45」が、トヨタの子会社であるトヨタルーフガ-デン株式会社が製造・販売元になり、豊田通商の飼料販売ル-トを通じ、地域を限定して販売が開始された。

なぜメニコンなのか?

 コンタクトレンズのメニコンが、なぜ畜産向け堆肥化促進材の共同事業をおこなったのか? 実は、メニコンは、コンタクトレンズ・ケア用品の開発で培った技術を、環境事業分野に活用しているのだ。そして、ニコンが分解酵素・微生物を基に新開発した促進材を開発し、「堆肥化調整剤及び堆肥化調整方法」のような特許も出願している。  また、メニコンは環境エコ事業として、畜産向け堆肥化促進材の開発の他にも、稲わら分解促進材の開発にも取り組んできた。さらに、2014年、発酵促進技術を応用し、スターバックスコーヒージャパンが事業者となる「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」において、コーヒーの豆粕を「牛のえさ」として再利用、飼料化する技術監修を実施したりもしている。 「メニコン アニュアルレポート 2016」(※pdf)によると、2016年3月期のメニコンの事業別売上高比率は、メルスプラン50%、コンタクト・レンズケア商品48%、その他2%の構成となっている。この、その他事業の中で、動物用眼内レンズや動物用サプリメントなどの動物医療事業、人間の生殖補助医療製品などのライフサイエンス事業と並んで、畜産、農業、飼料、コーヒー豆粕などの環境バイオ事業が新規事業の3本柱のひとつに挙げられているのだ。
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