ERG
ERGは1.5×1.5×2.7mの直方体の形をしている。質量は約350kgで、人工衛星としては小型の部類に入る。この小型のボディの中に、世界最先端の性能をもつ合計8基の観測機器が搭載されている。
この観測装置は、電磁場の変化や、飛んでくる荷電粒子(電子・イオン)を、非常に細かいスケールで観測することができる。一方、それだけ細かいデータを取り続けると、データの量は膨大なものになるため、ERGでは高速ネットワーク装置や、衛星の中でデータを処理できる装置が搭載されるなど、「頭の良い衛星」にもなっている。
ERGの観測機器の一部
そしてERGの最大の特長は、ヴァン・アレン帯を詳しく探るために、その中へ飛び込むようにして飛ぶことである。前述のようにヴァン・アレン帯は強い放射線があるため、コンピューターなどが誤作動を起こす危険があり、精密機器のかたまりのような人工衛星にとっては長居したくない場所である。その中にあえて突っ込んでいかなければならないということは、衛星本体や観測機器などを強い放射線に耐えられるように造らなければならないということであり、そのためERGの開発は当初の計画から1年ほど遅れることになった。