「ヒラリー」名の新生児がクリントン政権時代に86%減少! ヒラリーはなぜ嫌われる?

羽田夏子

ヒラリーはなぜ嫌われる?

 実際のところ、ヒラリーにはトランプと並んで「史上もっとも嫌われる大統領候補」という不名誉な称号がつきまとっています。彼女の不人気は、今に始まったことではありません。例えば、クリントン政権最初の5年間で、「ヒラリー」と名付けられた新生児の数は、86%も減りました。この極端な現象には、間違いなくヒラリー大統領夫人の影響があったことでしょう。「ミシェル」「ローラ」「バーバラ」など、他の大統領夫人の名には見られなかった傾向です。

 古今東西を問わず、上昇志向の強い女性が権力者の伴侶となると、悪女伝説が生まれます。中国の四大悪女と呼ばれる呂后・西太后・則天武后・江青(毛沢東夫人)、日本三大悪女の北条政子・日野富子・淀殿、いずれも共通するのは「最高権力者の妻」ということです。夫を意のままに操る、或いは夫の権威を笠に着る野心家の女性のことを、西洋ではシェイクスピア悲劇の有名なキャラクターの名を借りて「マクベス夫人」と呼びます。夫マクベスをそそのかして悪の道に引きずり込んだ「マクベス夫人」は、そのままヒラリーのニックネームとなってしまいました。

 なぜ「冷血女」呼ばわりされるのか―ヒラリーは自分のイメージの由来を「Humans of New York」というブログで明かしています。彼女がハーバードの大学院入試に臨んだ時、女性の受験者はヒラリーとその友人だけでした。試験官の到着を待つ間、男性受験者たちは女性ライバルに罵声を浴びせました。「なんでここにいるんだ」「他にすることがあるだろう」「お前のせいで落ちたら俺はベトナム戦争に行って死ぬんだぞ」。暴言が飛び交う中、ヒラリーはうつむいて沈黙するしかなかったといいます。

「自分が『高慢で冷たく感情がない』と言われるのは承知しています。でも若い頃から、私は感情を抑えて生きなければならなかったのです――自分を守るために」

「私はバラク・オバマではない。ビル・クリントンでもない。2人とも自然体が魅力ですが、私は彼らが自然に振る舞うために、どれほど努力をしているかを知っています。1人は私の夫で、1人は上司ですから」

「私も拳を振りかざし、大声を上げて情熱的に演説をしたい。でも女性が男性と同じことをすれば『耳障り』『きつい』と批判されるのが現実です」とのヒラリーの話には、多くの共感コメントが寄せられました。

 テレビ討論会でのヒラリーの姿勢は、女性の連帯意識を刺激したようです。トランプが51回にわたってヒラリーの発言をさえぎっても、ヒラリーは怒りを見せませんでした。「私の気持ちが分かるでしょう」とでも言いたげに、黙ってカメラを見つめ、視聴者と目を合わせました。トランプ支持者だった一女性は「ヒラリー支持に転向したわ。私の話をすぐにさえぎって話し出す元ボーイフレンドを思い出したから」と語っています。

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