「ヒラリー」名の新生児がクリントン政権時代に86%減少! ヒラリーはなぜ嫌われる?

羽田夏子

写真/Veni

焦りのトランプVS余裕のヒラリー

 米国大統領選挙は投票日まで約1カ月を残すのみとなり、いよいよ佳境を迎えています。9月27日、ヒラリー・クリントン民主党候補とドナルド・トランプ共和党候補による、第1回テレビ討論会が行われました。初の直接対決を見守ったテレビ視聴者の数は、約8400万人と最高記録を更新し、今回の選挙に対する米国内の関心の高さを表しています。

 放映直後に行われたCNNの調査では、討論の勝者をヒラリーとした視聴者が62%、トランプとした視聴者が27%となり、民主党の圧勝という結果が出ました。明らかに準備不足だったトランプに対し、ヒラリーの周到な準備とイメージ戦略が功を奏したといえましょう。

 討論に際し、トランプはヒラリーをSecretary Clinton(クリントン国務長官)と呼びました。最重要閣僚のポストを担ったヒラリーに対する敬称のようですが、secretaryには「秘書」という意味もあることから、挑発的な含みがあったとも囁かれます。対するヒラリーは討論相手を「ドナルド」とファーストネームで呼び捨てにしました。親しげな風を装いつつ、実は「長官」「知事」「議員」などの政治タイトルを持たないトランプの素人性を強調する計算だったと言われています。

 テレビ討論は、候補者たちが「何を言うか」よりも「どう見えるか」が往々にして勝敗の鍵を握ります。トランプはいつも通り、空手チョップやアコーディオン演奏のようなダイナミックな身ぶりを駆使して熱弁をふるいましたが、「自信」を印象づけるには至りませんでした。ヒラリーが話す段になると、作り笑いをしたり、かぶりをふったり、前後に揺れたりと、むしろ落ち着きのなさが目立ちました。

 一方のヒラリーは終始リラックスした様子で、百戦錬磨の政治家らしい貫禄を示しました。トランプが司会の進行をさえぎりながら「ヒラリーには自制心がない」「自分の気性は大統領にうってつけである」とまくしたてると、「ヒュー、オーケー!」と一息ついて、満面の笑みともに肩先だけでダンスする余裕すら見せました。

 討論が進行するにつれ、トランプはますます焦りをつのらせ、ヒラリーはいよいよ楽しげに振る舞いました。トランプが無軌道にわめきちらす様を、喜劇でも見ているかのように軽やかにあしらってみせるヒラリーの姿は、これまでの「冷酷な、感情を殺した女」というイメージを払拭するのに大いに役立ったことでしょう。

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ヒラリーはなぜ嫌われる?

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