南スーダン現地の支援関係者は、PKOの「駈け付け警護」に誰も期待していない!?

武力行使以外で日本が貢献できる分野の議論も必要

PKOで南スーダンに駐留している自衛隊は現在、主に道路整備などを行っている(陸上自衛隊HPより引用)

「南スーダンでは、政府軍と反政府軍のそれぞれに同調する民兵が入り乱れている状況。PKO部隊が南スーダン政府の検問所で停められることもよくあります。もし駆け付け警護で出動して、政府側の民兵とことを構えれば、南スーダン軍とPKOが戦闘状態に入ってしまう可能性すらあります。  日本政府は駆け付け警護に際して『相手国の同意を得る』と言っていますが、それはどう考えても不可能です。自衛隊が自国民を守るためにPKOの指揮を離れて独自に救助活動することが現実的とも思えません。駆け付け警護はそもそも前提がおかしいのです。  現地の状況を知りもしないで行われている、架空の議論に疑問を感じます。私のように現地生活が長くなると、いったい現地の人々にとってはどうなのだろう……と考えてしまいます。こうしている間にも、現地では毎日数え切れないほどの弾薬が使われ、多くの命が失われています。  日本では、自衛隊がどうするかということばかり議論されています。『武力の行使』以外の分野では、どのような形で内戦・紛争解決に貢献できるのかといったことも議論するべきでしょう」 ※JVCでは南スーダンの緊急支援に対する寄付を募っている。詳しくはJVCのHPを参照。今井さんは現在日本に一時帰国し、10月12日に東京・築地本願寺講堂で報告会を開催する。 <取材・文/白川愚童 写真提供/日本国際ボランティアセンター(JVC)
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