希望を持って赴任しても、こき使われて終わるケースも多いという(写真はイメージです。記事の内容とは関係ありません)
田舎暮らしを体験でき、しかも生活が保証される中には移住の引っ越し費用まで持ってくれる「地域おこし協力隊」。田舎に憧れた若者はネットで見るような町おこしのヒーローになれると勘違いして華やかなウリ文句に釣られて応募する。そうやって集められ使い捨てられていくブラック自治体の地域おこし協力隊の実態がさらに集まってきた。
地域おこし協力隊として中国地方のある県に赴任したCさん、彼は中部地方で手広く公的書類を作成していた司法書士。並行して店を経営していたためお金には困っておらず45歳を機会に田舎暮らしを夢見て一念発起。風光明媚な河川のある村の協力隊に応募し合格した。好条件に惹かれて都会からの応募者が増え競争率が年々高まっていると聞き、面接では、仕事のできる経営者として多様な町おこしのプランを語り、合格を勝ち取った。
「移住促進という係に配属されました。こちらとしては移住を促進するために様々なイベントや企画を立てて開催することを目論んでいました」
ところが、行ってみてやらされたのは主に移住促進住宅という仮設住宅の掃除。毎日、掃除と布団カバーの洗濯だけをやらされ続けた。予想もしない展開に入ってすぐに鬱ぎみになり、半年も経ったころCさんはさすがに我慢できなくなって新しい移住促進のプランを提案してみた。
「それがもう、お話にならないんです。プランを面白がってくれたのはいいですが、その後何か月経っても何も話が進まない。僕は結局11か月で辞めましたが、辞める頃になってその話が市役所の計画に取り込まれていたのを知りました。最初から協力隊にはやらせるつもりはなかったんだと悟りました。都会の人にアイデアだけ出させて取り上げるつもりだったんですよ。結局、彼らは地元の人以外には何もやらせたくないんです。余所者を信用していないというより、身内だけでやって担当者が役場の中で点数を稼ぎたいだけ」