英断か勇み足か? 若きローマ市長、2024年五輪開催地立候補から撤退を決定

Simona Granati /Getty Images

 2024年夏の五輪開催地として立候補していたローマ市は、ポピュリズム政党「五つ星運動(M5S)」出身のローマ新市長ビルジニア・ラッジ氏によって取り下げられた。その理由を彼女は「オリンピックを開催する国そして開催地は負債が積もるだけの意味でしかない。世論調査で70%のローマ市民が開催に反対している。レンガだけが競技しているようなもので、意味のない建築を生み、そして我が市には負債をもたらすだけだ」と述べている。(参照「El Espanol」)  しかし、イタリアオリンピック委員会のジョバニ・マラゴ会長はこの決定に対して不快感を示している。曰く、「ラッジ氏は立候補取り下げの正式公表前に、マラゴ会長とイタリアパラリンピック会長のルカ・パンカリ氏に直接伝えると約束していたにも関わらず会合に現れなかった」などと主張しているという。それに対して、ラッジ市長は「マラゴ会長には個人的に事前に知らせる必要はないと思った。私の結論は2015年の6月に取ったものと同じなのだから」と記者会見の席で答えたという。なにしろ、市長選挙のときにはすでに公約としてオリンピック開催に反対していたのだから。とはいえ、もし彼女が最終決定を事前にマラゴ会長に伝えると約束しておきながら、それを実行しなかったのが事実ならば、彼女は謝罪が必要であろうが。(参照「El Espanol」)  いずれにしても、マラゴ会長からしてみれば、ローマ前市長のイグナツィオ・マリーノ氏の市政の時に開催地への立候補が決まったのに、市長の交代で取り下げられたわけで、「政権交代の犠牲者だ」とまで言っているという。
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ラッジ氏が撤退を決めた理由
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