「加藤がいたら我々は改憲論議に一石を投じた」山崎拓

YKKは友情と打算の二重奏

 こうして不発に終わった加藤の乱だが、山崎氏はこれをきっかけに小泉政権が誕生したと分析する。 「加藤の乱の際、小泉は森派会長として勝者の側に着いてきました、そのクーデターが失敗したあと、ひょっこり私の誕生パーティーに出席してきました。呼んでもいないのに(笑)。それでマイクを握って放った一言が『YKKは友情と打算の二重奏』。3人は友情だけでなく、打算でも繋がっている。次の総裁選に出馬する際には協力してほしいという打算を含めて来た、という意味でしょう。加藤派が切り崩されたのに対して、山崎派が一糸乱れぬ動きをしていたことを小泉はよくわかっていた。その小泉のメッセージを受け止めて、私はその後、小泉政権の誕生から終わりまで支えました」  ご存じのとおり、小泉元首相はその後、「古い自民党をぶっこわす」として、党内の抵抗勢力を徹底排除。郵政民営化に反対した経世会所属議員のもとには次々と刺客を送り込み、経世会の弱体化を図った。旧態依然とした自民党政治は、加藤氏が火をつけ、小泉氏のもとで崩れ去ったといえる。  最後に、「今YKKが現職だったら?」の質問をぶつけると、山崎氏は「加藤は改憲に反対だっただけに、拙速な改憲論議には一石を投じただろう」と即答。「今の自民党には、政権にモノが言える政治家がいない」とも語った。YKK的な異分子なき現在の自民党政治に関する山崎氏の考察については、続編で明らかにしていきたい。 <取材・文・撮影/池垣 完(本誌)>
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YKK秘録

YKKの誕生から四半世紀。山崎拓がずっとしたためていた日記を初公開。

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