「堺から世界へ」。タイのコンビニに大阪生まれのイカのつまみが置いてある理由

タイ最大のコングロマリットと提携

「堺から世界へ」を掲げ、自社の躍進に日々忙しく飛び回る若き社長、田中稔朗氏。(写真提供:マルエス)

 CPグループはタイ最大とも言われるコングロマリットで、食品関連の事業を中核としている。タイのセブンイレブンもこのCPグループの経営で、タイ全土に9252店舗ある(参照:セブン-イレブン・ジャパン)。マルエスがまずバンコクの2000店舗で始めることになったのはセブンイレブン・タイ側の事情もあった。 「タイのセブンイレブンも日本同様に商品選定方法が厳格です。全部で15アイテムは持って行ったのですが、最終的に残ったのが6種類。ただ、高圧的なミーティングではなく、こちらの話も聞いてくれましたから雰囲気はよかったです。工場ができたら全店に入れてもらえる約束にはなっていますが、現状の輸入品は高速道路を含めたバンコク近郊までの2000店舗が限界みたいです」  現在は日本に2箇所ある工場で作ったものをタイに入れているが、どうしても経費がかかる。そのため、小さなパッケージではあっても価格設定が50バーツ(約155円)前後になってしまう。タイでは日系製菓メーカーが日本でも馴染みある商品を15バーツ(約46円)程度から販売している。それと比較するとマルエスの製品は高額という印象を受けてしまう。タイはバンコクとそれ以外の地域の収入差が大きく、購買層がバンコク郊外や他県になると極端に薄くなることもある。そのため、タイ国内工場ができるまでの間は、セブンイレブン側でも2000店舗が限界だと考えているというわけだ。 「日本からの輸入製品は今はテスト段階と考えています。今はCPで50バーツですが、今後20%30%下げて売ってみるなど、工場が稼働したあとに設定するタイ産価格の感触を試していきます」
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