このような状況の中で、中国がアントノフが生産したAn-225に関心を寄せたのであった。An-225はもともとロシアの宇宙開発計画でソ連版スペースシャトル「ブラン」の輸送を考えて生産されたものであった。宇宙開発を急ぐ中国にとって、An-225は非常に有効な輸送機だと判断したようである。しかも、戦車や大量の兵士を目的地に輸送もできる。
ウクライナのアントノフ設計局には、スポンサー不足で70%まで出来上がっているものの未完成のまま放置されたAn-225を1機持っている。そこで、AICCはこの1機を最新システムにしてウクライナで完成させて、それを中国に送ることで合意したという。仕上げの為の費用3億ドル(300億円)はAICCが負担することになっているという。そして、中国ではアントノフから渡されたその設計図をもとにライセンス生産を開始する予定で、その1号機の完成を2019年に予定しているという。(参照:『
Defensa.com』)
<文/白石和幸 photo by
Aero Pixels on flickr(CC BY-SA 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。