更に、EUの将来を不安に陥れる問題は山積みされている。
イタリアとドイツが抱える銀行危機。フランスでのテロ問題と来年の大統領選挙に向けて支持を伸ばししている極右派によるEU離脱の動き。ギリシャとポルトガルの財政危機。また、10月にはイタリアで上院改正案について国民投票が予定されている。これに反対派が勝利するとレンツィー首相政権の崩壊は必至である。スペインは10か月以上政権の誕生がなく、選挙前の政権が暫定政府として政権を運営している。12月に1年以内の3回目の総選挙が実施される可能性がある。これらすべてがEUの統合を妨げる要因になる要素をもっているのである。
そして、これらの問題の中でも一番危険性を孕んでいるのはドイツとイタリアが抱える銀行危機である。ドイツ銀行が破綻でもするとEUは一挙に解体に向か可能性がある。
果たしてEUの未来はどこに向かうのだろうか?
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。