「すかいらーく」のMBOは成功例と言えるのか?

’06年にMBOによって非上場化した「すかいらーく」が、ついに再上場を果たした。時価総額で日本マクドナルドに次ぐ外食2位のポジションに返り咲いたことを受けて、国内では数少ないMBOの成功例と言われたが……実態やいかに? 闇株新聞氏が一刀両断!

8年ぶりの“再上場”を果たした「すかいらーく」のMBOは成功例と言えるのか?

(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏)
すかいらーく

10月9日、再上場を果たしたすかいらーくの谷真社長は記念盾を手に笑顔を見せた

「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」など約3000店舗を運営する外食大手すかいらーくが10月9日に東証1部に再上場した。’06年9月に業績悪化を理由に経営陣によるMBO(マネジメント・バイアウト)で上場廃止となって以来8年ぶりの上場となる。  このMBOとは、一般に「経営陣が上場企業を買収して非公開会社とし、目先の業績にとらわれず思い切った経営改革で企業価値を飛躍的に拡大させ、しかる後に再上場で大きな投資収益を上げるもの」と解説される。それでは、すかいらーくは企業価値が拡大して再上場したのであろうか?  ’06年6~7月に野村HDが特別目的会社を通じて、すかいらーく全株を対象にTOBを行った。TOB価格は1株=2500円で、全株取得に要した金額は約2700億円だった。再上場後のすかいらーくの時価総額は約2200億円なので単純比較でも企業価値は減少している。  当時はこの特別目的会社に野村HDが1000億円、英系ファンドが600億円出資し、みずほ銀行を中心とする銀行団19行が2200億円を融資した。当時の経営陣も少しだけ出資したのでMBOと呼ばれるが、実態はLBO(レバレッジ・バイアウト)にほかならず、創業者一族の経営者も間もなく解任されてしまった。  LBOとは会社財産を担保に巨額借り入れを行うもので、実際に2200億円の借り入れと2000億円もの「のれん代」(すかいらーくの資産価値を上回る取得原価)を抱えた特別目的会社をすかいらーくと合併させてしまった。つまり、非公開後のすかいらーくは収益のすべてを借り入れ返済とのれん代償却(年間100億円)に充てる「苦難の道」を歩んだのだ。 ⇒【後編】「すかいらーくのMBOは成功したとは思えない」に続く
https://hbol.jp/10915
【選者】「闇株新聞」氏 闇株新聞’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」や’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事を書いて話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)も発売中
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