スターウォーズから3Dまで……中国の秋を彩る「月餅」大戦争

成長し続ける月餅市場と、和菓子の可能性

 そんな月餅、もし興味があれば日本で買うこともできる。シャングリ・ラホテル 東京(オンラインでも購入可能)やマンダリン オリエンタル 東京などの香港系ホテルでは豪華な月餅を売り出しているし、意外ではあるがカレーで有名な新宿中村屋では「和菓子」のカテゴリだが、小豆、木の実、二つの味の月餅を販売している。そのほか、横浜中華街などでも取り扱いがある。また、どうしても本場物を食べてみたい場合、輸入月餅を売る店も一部にはあるようだ。  月餅は中国でも味を楽しむというよりは、儀礼としての贈答の意味合いが強い(最近は代わりに商品券を贈る場合も多い)。その意味では、筆者としては外国人向けにアレンジされた月餅をお勧めしたい。  贅沢消費の禁止や食の安全に関する問題、法律の厳格化など、様々な逆風を受けながらも、業界団体は今年の月餅の売上額を昨年比10%の伸びと予想している(出典:捜狐)。これは国全体の経済成長が6.9%であるところから考えても、驚異的であるといえる。  また特に富裕層を中心に、中国人の間では日本の伝統文化に根強い人気がある。彼らに言わせれば「自国で失われた伝統的な文化が日本にはそのままの形で残されている」とのことで、爆買いを支えた技術や商品への人気・信頼とはまた違う理由があるようだ。そして実は、上述した六合信のディズニー月餅は、皮の製法が和菓子の一種「桃山」と同じというのがうたい文句のひとつである。つまり日本ブランドの訴求は、月餅業界でも「刺さる」と考えられているのだ。そうした状況を見るに、成長を続け、常に新しいアイディアが求められている月餅市場では「和菓子月餅」にも商機があるかもしれない……というのは考えすぎだろうか?<取材・文/林 毅>
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