林泰弘氏
「例えばホテルもそうです。ホテルは単なる宿泊サービスを提供するのではなく、どのタイプの人が、いつ、どの場所のホテルに宿泊するか、その前後にどこに行くかというマーケティング情報を蓄積して販売する会社になるのです。そして、その情報を認知して、宿泊前の行動パターンに応じた宿泊サービスや、宿泊した後の行動に関するサポートという新たなサービスを、コンピュータ自体が発案していきます」
既存の輸送サービス、宿泊サービス自体が大きく変わっていくということなのか?
「そうなのです。輸送や宿泊をトリガーとしたかなり確度の高いマーケティング情報を売る会社に変質していくと、私は思います。これまで、輸送サービス会社は、輸送サービス会社、マーケティング会社はマーケティング会社と明確に役割と専門性が分かれていました。これが融合していくことになります。まさにロジスティックスにおけるビジネスモデルのパラダイムシフトが起きると私は確信しています」
輸送や宿泊だけでなく、他のビジネス形態もマーケティングと結びつくことはないのだろうか?
「確かに他の小売やアパレルのビジネスもマーケティングと結びつきやすいでしょう。しかし、私は、次のビジネスモデルの変革は、輸送や宿泊サービスだと思います。なぜならば、人が動くと言うこと自体が、人の行動の変化を示しているわけで、その人の行動を読み取ろうとするマーケティングに一番結びつきやすいと思うからです」
なるほど、となると、いわゆる物流ビジネスへの参入者が増大するのではないだろうか?
「コンビニエンスストアや、ファスト・フード店も宅配サービスを開始するところが出てきています。まさに、非物流会社が、物流サービスに参入して、マーケティング情報を蓄積して提供するようになる。これは、大きな変革です」