地方ローカル線・三陸鉄道に何が起こった?――藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」

三陸の水産業は必ず復興する

「美味しい! これが1300円というのは安いですね。東京だったら2500円してもいいのでは!?」  車内で昼食に宮古市名物の「いちご弁当」を食べた藻谷氏はこう驚いた。
いちご弁当

「値段を上げてもいいから」と、いちご弁当の復活を望む声も多く、後継者に期待がかかる。

 この弁当は郷土料理「いちご煮」をアレンジしたもの。ウニとアワビの煮汁で炊いたご飯に、ウニのそぼろと蒸しアワビが載る。実は、現在この弁当は販売されていない。  この弁当を特別に作ってくれたのは、宮古市の老舗割烹「魚元」の女将・張間重子氏(80歳)。「震災で、種苗施設や冷凍設備など水産業関連施設も壊滅的被害を受け、あわびの単価が高騰してしまった」のが販売中止の理由だという。魚元では現在、いちご弁当は販売していないが、ウニやイクラ、カニ、イカなどが入った海鮮弁当「海女弁当」など、宮古駅での駅弁予約販売は継続中だ。特産品の国際競争力に詳しい藻谷氏はこう断言する。 「例えば、香港の高級中華料理店で出される最高級の干しアワビは三陸産のものです。ホヤやホタテ、カキなど、この地域の水産資源は世界最高水準。こうした資源と、美味しい食材を提供する力が地元にある以上、いずれ三陸の水産業は必ず復興します」
北リアス線

孫たちと一緒に、車両に向かって手を振る張間氏。

【藻谷浩介氏】 ’64年、山口県生まれ。日本総合研究所調査部主席研究員。著書に『デフレの正体』、共著書に『里山資本主義』など。NPO法人「コンパス 地域経営支援ネットワーク」の理事長も務める ― エコノミスト・藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」 ―
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里山資本主義

課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!

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