地方ローカル線・三陸鉄道に何が起こった?――藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」

アベノミクスの恩恵は、都市部や大企業が中心で、地方や中小企業にはほとんどまわってきていない。特に、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の経済的復興はまだこれからだ。HBOは、エコノミスト・藻谷浩介氏の講演ツアーに同行して東北復興の“現場”を歩き、地域の特性を活かした「持続可能な経済」について考えた!

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北リアス線

「復興支援を兼ねて観光に来ました」と話す男性は「乗車証明書に加えて、記念に普通の切符のほうも買いました」と語った。

 地方経済活性化のための「里山資本主義」を提唱する藻谷浩介氏は、三陸鉄道北リアス線のレトロ調車両「さんりくしおさい」に宮古駅から乗車。NHKの朝ドラ『あまちゃん』で有名になったこの路線は、東日本大震災で全線が運転不能になったが、震災後すぐに一部区間で運行を再開。昨年4月には71㎞全線での運行を再開した。震災直後は赤字に転落したが、「『あまちゃん』のロケ地を見てみたい」といった観光客の増加が追い風となって、’14年度には黒字化。その勢いを維持すべく、三陸鉄道ではさまざまなイベント列車を走らせている。
「例えば、お座敷列車『北三陸号』をゴールデンウィークや夏季~秋季の土休日に運転しました。そこでは、海女の格好をしたアテンダントが車窓案内や車内販売をします。また、南リアス線では貸し切り列車『三陸歌声列車』も月に1回ほど運行しています。三陸海岸の景色を見ながら、カラオケ大会ができるんです」(三陸鉄道職員)

 さらに今年4月28日には、宮古漁協津軽石かき養殖組合の協力を得て、宮古特産の花見カキを楽しむ「花見カキ列車」が走った。新型お座敷列車「さんりくはまかぜ」に乗り、宮古特産の花見カキを賞味するというものだ。

 海側を眺めると、風光明媚な海岸が広がっていた。しばらくすると「(『あまちゃん』の中で)大漁旗を振った場所でもございます」との車内放送が流れた後、『あまちゃん』の舞台となった「袖が浜」駅に到着。

「観光列車では、見どころにさしかかるとスピードを緩め、景色を楽しめるような工夫もしています」(駅長)

 そんな努力の結果、乗車人員は’13年度の49万7515人から、’14年度は69万776人と、約19万人増えている。

北リアス線

北リアス線のイベント列車に乗ると、記念の乗車証明書をもらえる。

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三陸の水産業は必ず復興する
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里山資本主義

課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!

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