ISの活動範囲はフランスを中心とした欧州全土から東南アジアにまで及んでいる。日本は最後の安全地帯になりうるか(写真:IS系ウェブサイトより)
脅威となるのは組織を渡り歩く“フリーランス過激派”
7月1日、バングラデシュで日本人7人が殺害された無差別テロ事件が日本へ大きな衝撃を与えたが、それ以降もフランスのニースやドイツ南部ミュンヘン、アフガニスタンでもテロが発生するなどテロ脅威が拡散している。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「テロの危険地域は世界全域であり、今や安全な場所はありません」と話す。
「ISを中心した過激思想に感化された、いわば『テロ志願者』が起こす無差別テロは大流行期に入っています。志願者は必ずしもISに属しているとはかぎりません。彼らはISから直接命令を受けなくても、世界中で頻発するテロに影響を受けて自発的にテロを起こします。ISではこれら志願者もISのメンバーと位置づけ利用しています」
イスラム過激派組織の共通目的は「全世界のイスラム化」、「イスラム国家建設」であり、攻撃対象は「十字軍」、つまり欧米のキリスト教中心の国々とその有志連合である。
当然、十字軍の「異教徒」が多く集まり、堕落した空間と考えるようなリゾート地や高級ホテル、空港、レストランなど場所は狙われやすい。また、企業についても「日本企業は標的にはなりづらいのですが、欧米系企業とプロジェクトを組んでいると巻き込まれる可能性が高まる。日本人7人の犠牲を出したアルジェリア人質事件は、イギリス系多国籍企業のプロジェクトへ参加した日揮の関係者が犠牲になりました」という。
さらに、テロの危険は、イスラム圏の国々だけでなく、イスラム系移民が多い国々でも高い。
「イスラム教徒が多く住む国は当然ながらテロ志願者が生まれるリスクが高いですが、欧米諸国でも、たとえばフランスもドイツも移民を多く受け入れている国であるだけに、テロの温床が増しているといえます」