4年後の東京五輪はテロの“衰退期”。だが組織分裂の飛び火も?
2016.08.14
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’20年の東京オリンピックへ向けさらに訪日外国人が増えると予想される中で、日本がテロに対処していくには、テロ組織の基本構成を知ることが重要となる。
「イスラム過激派の世界では、組織のコアな構成員だけでなく、周辺に多くのシンパがいます。また、構成員であっても、比較的自由に組織間を移動したりもします。ファジーな同好会のようなものなのですね。そして、現在はさまざまな過激派組織の人脈に連なる人間が、最も勢いのあるISの流れに乗っかっているのが現状です」
一見、結束力の弱いこうした組織構成はテロの流行期を過ぎると、予測不能な脅威になりやすい。
「テロで社会をひっくり返すことはできませんから、流行は何年後かには下降期に入ります。もしかすると、東京五輪開幕の頃にはピークは過ぎているかもしれない。しかし、過去の事例からみると、流行の下降期こそ危険でもあります。社会から孤立し、組織が分裂し、弱体化が進むと、組織に残ったコアなメンバーが逆に先鋭化し、大がかりで過激な行動に出る傾向があるからです」
現在のところ、公安警察もイスラム系住民に対しては徹底的に身元調査をしており、地理的条件などからも日本でテロが起きる可能性は低いが、イスラム教徒に対する偏見などで、たとえばイスラム教徒に対するヘイトクライムなどが起きると、そのニュースがあっという間に世界のイスラム圏に拡散され、過激派を刺激し、テロの口実を与えかねないと黒井氏は話す。4年の間に、テロのリスクを最小限に抑えるには、日本人の意識と国際感覚も少なからず問われてきそうだ。
【黒井文太郎】
軍事ジャーナリスト。安全保障、国際紛争等に精通。紛争地域を中心に約70か国を訪問、約30か国を取材。近著に『イスラム国「世界同時テロ」』(KKベストセラーズ)
<取材・文/HBO編集部>
イスラモフォビアを煽らないのが絶対条件
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『イスラム国「世界同時テロ」』 大流行期に入ったテロリズムが世界を席巻する。次は日本か!? |
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