移民ビジネスの商機はトラブルシューティングにあり?
現在新宿区には34万人の外国人が住み、こうしたビジネスは不可欠となっているが、移民が増加すれば日本各地で需要が生じる。
「後者の代表は日本語学校などの教育ビジネスですが、群馬大学が養成している『多文化共生推進士』が脚光を浴びることも考えられる。生活・労働習慣の違いから生じるトラブルを調停したり、移民と地元民が交流するイベントを企画したりするのが主な業務です」
文化や習慣の違いは移民、日本人双方にとって損失を招きかねない。顕著な例が、三菱重工が‘11年に受注した大型客船「アイーダ・プリマ」建造現場での一件だ。日本人、欧州の技能者、アジア人技能実習生5000人規模で動員された一大プロジェクトだったが、完成が1年遅れ、累計で1800億円以上の特別損失が生じた。三菱重工は顧客からの設計変更の要望が多かったことなどを理由に挙げているが、外国人と日本人の労働習慣の違いが軋轢を生み、工期に影響したという指摘がある。
一方で、移民が持つ独自の視点は斬新なビジネスや地域の新たな価値の創出に繋がるケースもある。
「北海道のニセコ町が好例です。ここのオーストラリア移民が地元住民が気付いていなかった雪質の高さを海外に発信し続けた結果、’02年には6000人弱だった観光客数が’14年には約15万人に増加しています」
とはいえ、ヨーロッパの現状を鑑みれば移民がもたらす治安の悪化や国内労働者との競合は無視できない問題に思えるが……。