不正会計疑惑に揺れる伊藤忠商事、「商社トップ」の裏に巧みな広報戦略
2016.08.10
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対して、伊藤忠は売上高のセグメントごとの内訳を見ればわかるように、繊維・機械・金属・エネルギー・食料・住生活と多角化を進めている。そのため減損額が1社だけ少なかったのだ。
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しかし、商社の総資産のうち8割程度を占める投資有価証券の総額をみて見ると、2.3兆円程度の伊藤忠は、4.8兆円ある三菱、3.7兆円の三井に遠く及んでいないことがわかる。資産が少なければ、減損する額も当然少なくなりやすい。
時価総額でも3位、本業によって稼いで手元に残ったお金を示す「営業キャッシュフロー」でも4位と、伊藤忠が首位になる指標はかなり少ない。
ただ、そんな伊藤忠が純利益以外でもダントツトップになっている分野がある。それは社員数だ。なんと連結で10万人を超え、他社に倍ほどの差をつけている。
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これは逆にいえば、従業員一人当たりの売上高は非常に低いことを示している。非資源は資源と比べて、減損を出すリスクは低いものの大きな売上をつくることが難しいのである。
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実際、伊藤忠の各セグメントごとに従業員一人あたりの収益を出してみると、非資源と資源では桁違いの収益性であることがはっきり見て取れる。非資源である繊維や住生活は3000万円台であるのに対して、エネルギー・化学では1.3億円、金属に至っては4.3億円にも達する。
商社の本質は「稼ぐ」ことにあるとすると、これまで見てきたさまざまな面から伊藤忠がトップであるとは言い難い。純利益という1つの指標だけに経済アナリストや経済誌がスポットライトを当てすぎているのだ。
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