LINEとクックパッドに見る、国産ITサービスが海外戦略に失敗するワケ

海外進出か多角化か

 この流れを見て、筆者が思い出したのが、今年1~3月、現社長の解任を巡って投資家を中心に世間を騒がせたクックパッドだ。  創業者でありながら取締役に退いていた佐野陽光氏が、自身が’12年に禅譲した穐田誉輝氏を大株主の権限を使って解任。佐野氏に近い岩田林平氏に首をすげ替えたようとした、この騒動は不健全な企業統治の一例として国内外から問題視された。  だが、そもそも佐野氏と穐田氏の対立が生まれた根幹的な原因は、経営方針の違いにある。  創業者の佐野氏は「食」の領域に強いこだわりを持っており、それは「クックパッド」という社名や会社のロゴからも見て取れる。企業理念も「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」だ。  クックパッドは創業以来のレシピサービスで国内圧倒的トップのシェアを獲得しており、今度、佐野氏はそれを世界に展開しようと考えた。(その時点ですでに穐田氏が代表に代わってはいたが、)アメリカ、スペイン、インドネシアと海外現地企業を次々と買収していったのだ。  その結果、海外ユーザー数は2000万人を超すまでに至ったが、英語圏では伸び悩み、昨期はアメリカ子会社の経営不振で2億7000万円の減損を計上してしまう。  海外子会社買収時の”のれん”は合計すると、30億円以上に達する。企業会計における”のれん”とは、買収の際につくプレミアムのことで、簡単に言えば買収した会社が思ったように成長しなかった場合に減損として計上され大きく利益を押し下げる存在だ。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=102041

クックパッド”のれん”の内訳

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クックパッドお家騒動の根源
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