文科省の武道権益を追う――小学校で武道必修化なら費用1兆円!?

文部科学省

写真/Dick Thomas Johnson

年度ベースでは文科省スポーツ関連予算の20%が武道関連予算

「連載第5回」までに中学校武道必修化の費用総額と費用対効果について論じてきましたが、年度ベースの費用はどれ位掛かっているのでしょうか?これについては「連載第1回」に書いた通り、文部科学省が毎年9月にホームページ上で公開している概算要求資料を閲覧すれば、単年の文科省負担分の予算は把握できます。武道必修化費用が初めて予算化された2009年度以降、その金額は年度により異なりますが、毎年45~50億円程度が予算として手当てされています。

 金額も大きいのですが、特筆すべきなのは、毎年文科省のスポーツ関連予算全体の20%余りを武道関連予算(中学校武道必修化予算)が占めていることです。2015年度以降はスポーツ関連予算に占める東京五輪関連の予算などが増額されており、武道関連予算の比率は15%程度まで下がってきていますが、金額自体は下がっていません。

 そもそも、ただでさえ日本のスポーツ関連予算は欧米先進国に比べて少なく、ロンドン五輪の前などはGDP対比のスポーツ関連予算の比率においてイギリスやフランスなどの1/10に満たないと言われていました。また日本国内においてもスポーツ予算は文化予算の1/4しかなく、日本のスポーツ行政の台所事情は火の車であると思われます。そんな中で毎年、武道必修化予算がスポーツ関連予算全体の20%も占めていたことに大きな違和感を感じます。

 日本体育協会やJOCに加盟する中央競技団体のみならず、その他のスポーツ関連団体を合わせると軽く数百団体はあると思いますが、これらの団体は「何で武道だけ優遇されるのか」と思わないのでしょうか? さらに「武道」といっても授業で行われる種目の約2/3は柔道、1/3は剣道であり、武道場整備は実質的に柔道のためにやっているみたいなものなのですが、柔道関係者がその費用をほとんど自覚していないのは情けない限りです。

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武道教育と怪我の関係は統計のウソ?

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