「バランスの良い食事」は健康にいい? 8万人を15年追跡調査してわかったこと
今年3月に国立がん研究センターが「British Medical Journal 2016年3月22日号)」に発表した論文は、その「多目的コホート研究(JPHC研究)」で導かれた結果のひとつだ。
研究チームは、1990年と1993年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2014年現在)管内に住んでいた40~69歳の人を対象に、食事調査を含む生活習慣についてのアンケートを行った。そして、5年後の1995年と1998年には、より詳しい食事調査を含む2回目のアンケートで、当時の生活習慣についてのアンケートを行った。そのうち、1回目と2回目の調査時点で循環器疾患、がん、肝疾患のいずれにもかかっていなかった男女約7万9600人の方々を、2回目の調査時点から平均約15年追跡したという。
その結果、どういうことが明らかになったかというと、「バランスの良い食事が、健康寿命のさらなる延伸のために役立つ」という結果であった。
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、主食(ごはん、パン、麺)、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)、牛乳・乳製品、果物、総エネルギー、菓子・嗜好飲料由来のエネルギーの各摂取量を10点満点として評価し、70点満点の「食事バランスガイド遵守得点」というのを導き出した。
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=100894
この「食事バランスガイド」というのは、2005年に厚生労働省・農林水産省が「何をどれだけ食べたら良いのか」について、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したもので、このガイドにある栄養バランスを遵守している人ほど総死亡のリスクが低下しており、遵守得点が10点増加するごとに総死亡リスクが7%減少していたのだという。
死因別に見ると、食事バランスガイドへの遵守度の高い人ほど循環器疾患死亡、および、脳血管疾患死亡のリスクが低下することが分かった。食事バランスガイドへの遵守得点が10点増加するごとに、循環器疾患死亡リスクが7%減少、脳血管疾患死亡リスクが11%減少している。
一方で、がん死亡および心疾患死亡については、食事バランスガイドへの遵守度が低い人は死亡リスクが高く、遵守度の高い人ほど死亡リスクが低い傾向は見られたが、統計学的に意味のある違いではなかったという。
「食事バランス」がいいほど死亡率が低い!
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