photo by www.whitehouse.gov(CC0 PublicDomain)
英国のEU離脱が決定してから米国はヨーロッパにおける英国に代わる同盟国を求めているという見方が強まりつつある。
そもそも米国と英国の同盟関係はそれ程古い時代から存在していたのではない。1776年に英国からの独立した米国が、独立後初めて英国と”和解”する機会になったのは1917年のことだ。つまり、ウイルソン大統領政権下の米国が、ドイツをリーダーとする中央同盟国に宣戦布告してイギリス、フランスを軸とする同盟軍に加わった……ときのことである。
そして、第二次世界大戦でドイツ軍がヨーロッパの東部戦線と北アフリアで留まることのない侵攻を前に、チャーチルはアメリカの参戦を要請した。第二次世界大戦以降は両国の関係は最近まで一枚岩の同盟関係を維持していた。
しかし、最近の二つの出来事によって米国は英国への信頼を失いつつあった。
ひとつは、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったのが発覚したときのことだ。米国はそれがレッドラインを踏み越したとして軍事介入を決定しようとししたが、英国は、キャメロン首相が議員説得するために十分な事前工作もなく動議をかけたために、否決されるという事態になったこと。
もうひとつは、英国が中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に率先して参加したことである。