「舛添叩き」が衆愚の極みである理由
にもかかわらず、朝野をあげて「舛添やめろ」の嵐である。おそらくこのままいけば、都議会自民党も、不信任決議を提出することになるだろう。都議会自民党の中にも、舛添と同じ程度に「非効率な政治資金の使用」を行っている議員は何人もいるだろうにもかかわらずに。
叩くとなったら、根拠不明でも叩く。法令違反を犯しているわけでもないのに、政治家を叩く。たかだか百数十万の、そして百数十万レベルだからこそ「庶民感覚」なるものに近い「他人のカネ遣い」で、政治家を屠る。
こうした集団リンチ(法によらずに社会的な制裁を加えているのだから、狭義のリンチにさえ相当する)に熱狂するのも気持ち良いのだろう。しかし落ちた犬を叩いて溜飲を下げ快楽を貪っている傍で、景気対策や改憲など、極めて重要なイシューが争点となる参院選が刻一刻と近づいている。
セコいオヤジを叩いている側こそが、極めてせこいレベルに陥っているように思えて、ならない。
<文・図版/菅野完(Twitter ID:@noiehoie) 写真/東京都知事定例会見 2016年6月10日放送 via TOKYO MX on YouTube>
※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
『日本会議の研究』 「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか? |
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