「シェイク・シャック」はバーガー業界のスタバになれるのか?――サザビーリーグの次なる一手

クールな海外ブランドの日本展開といえばサザビーリーグ


 サザビーリーグは、バッグ、アクセサリー、生活雑貨、衣料品の企画や販売、飲食店の運営等を行っている会社です。展開するブランドも多岐にわたり「アフタヌーンティー」や「サザビー」などの自社ブランドに加えて、過去には仏ファッションブランド「アニエスべー」や米「スターバックスコーヒー」の日本進出を成功させ、現在も米西海岸のセレブショップ「ロンハーマン」、スペインの靴ブランド「カンペール」、デンマークの雑貨店「フライングタイガーコペンハーゲン」といった、海外人気ブランドの日本展開を多数手がけています。

シェイク・シャック 創業は1972年で、26歳から29歳までヨーロッパを中心に放浪していた鈴木陸三氏によって設立されています。当初はユーズド家具の輸入販売が中心でしたが、1981年に「アフタヌーンティー」を立ち上げ、更に「アニエスベー」の日本進出を成功させたことをきっかけに、その評判が海外ブランドの間で広がり「スターバックスコーヒー」等の有力ブランドとの契約に繋がっていきました。そして「スターバックスコーヒー」は1000店舗を超える規模に成長「ロンハーマン」なども本場のロサンゼルスは4店舗ほどなのに対して15店舗展開と、ブランドを守りながら、日本のマーケットに馴染ませる手腕は本国からも高い評価を得ています。

半歩先のライフスタイル提案で、スタバ株の売却益500億円


 なお、連結売上は900億円を超え、1997年には上場もしていましたが、2011年にはMBOによって廃止しています。次々とこれまでにない「半歩先の」マーケットを作っていくというアグレッシブなスタイルは、基本的に右肩上がりのみを前提とする上場というスタイルとは合わなかったのでしょうね。これは社名にも表わされていて、集団が横展開で拡大していくイメージの「(サザビー)グループ」ではなく、それぞれが個性的なチームとして「サザビーリーグ」を形成する、という意味が込められているようです。

 ちなみに創業者の鈴木陸三氏、その実兄でスターバックスジャパン初代社長の角田雄二氏は、神奈川県逗子で創業100年以上の老舗スーパーマーケット「スズキヤ」の一族なのですが、高校生の頃から、石原裕次郎氏や石原慎太郎氏と親交があって、湘南でヨット遊びをして青春時代を過ごしていたそうで、かの芥川賞受賞作「太陽の季節」に出てくるような若者だったかはさておき、サザビーリーグの「半歩先のライフスタイルの提案」というコンセプトは、20代後半をヨーロッパで過ごした経験に加えて、ビジネスが小さい頃から身近にあったことや10代のこういったセレブな原体験の影響もあるのかもしれませんね。

第5期決算公告 2015年7月15日官報122頁より
当期純利益:138億8300万円(+999%)※()内は前年比
利益剰余金:442億300万円
過去の決算情報 詳しくはこちら
http://nokizal.com/company/show/id/1131440#flst

 さて、そんなサザビーリーグですが、2015年3月の決算では純利益を12億円から一気に138億円まで10倍以上伸ばしています。これはおそらく、2014年9月に実施した550億円にのぼる、スターバックスコーヒージャパン株式の売却益が計上されたようですが「スターバックスコーヒー」を国内1000店舗、売上1000億円、利益100億円の企業に育てた対価と言えば納得がいきますね。そして、当然サザビーリーグとしては、非上場企業ならではのダイナミックさでその売却益を次のブランド育成に張っていくのだと思われますが、その目玉の一つが国内における独占契約を交わし、アジア初出店を取り付けた「シェイク・シャック(Shake Shack)」です。

“ハンバーガー界のスタバ”「シェイク・シャック」


「シェイク・シャック」は2000年にマディソン・スクエア公園で始めた屋台が起源の、ニューヨークに本社を置くハンバーガーチェーンで、現在9カ国で70店舗以上を展開、2015年1月末にはニューヨーク証券取引所に上場し1億ドルを調達、新規出店も進めています。100%米国産のアンガスビーフの様々な部位を配合して作ったパティやそれを引き立てるジャガイモを使ったポテトバンズ、トランス脂肪酸を排除したフライドポテト、毎朝お店で手作りされるフローズンカスタードを使った濃厚アイス「コンクリート」(ひっくり返してもカップから落ちないほどどっしりしているのが由来)など、クオリティの高い商品が人気です。

 また、価格面では看板のシャックバーガーが680円となっており、マクドナルドのビックマック等が300~400円、グルメ系のハンバーガーが1000円程度することを考えると、その中間のちょっと高めの価格帯で確かな品質の商品を売るという意味では「ハンバーガー界のスタバ」の呼び声があるのも理解しやすいですね。まさにサザビーリーグが次に手がけるブランドとしてはうってつけ、といえそうです。

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