メキシコ麻薬カルテルの王、エル・チャポ逮捕。しかしその影響力は強い

photo by Bloomberg/Gety Images

3度の収監、脱獄から再び逮捕


 メキシコに蔓延る麻薬カルテルの王者ホアキン・グスマン・ロエラ(58才)=通称エル・チャポ=が1月10日に逮捕された。昨年7月11日に刑務所を脱走して失踪していた。彼は15年間で3度収監された人物だ。

 エル・チャポは1980年代から麻薬の密売を始め、現在メキシコで最大の麻薬カルテル「シナロア」をイスマエル・サンバダ=通称マーヨ=と共同で仕切っている。32あるメキシコの州の半分にあたる17の州に密売組織を持ち、その内の5つの州を完全支配しているという。また米国市場をコントロールし、麻薬をカナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに送り、毎月2tのコカインと1万tの大麻を取り扱える能力を備えているという。大麻だけではない。メタンフェタミンやヘロインも生産し、メキシコを始め世界に流通させている。この組織の密売規模は30億ドル(3600億円)と言われている。(参照「El Pais」)。

 米国の司法省によるとシナロアは毎月2tのコカインと10tの大麻を米国の1000以上の都市に流通させているという。米国財務省は米国で消費される麻薬の1/4はこのカルテルの密売によるものだと推測している。この密売で得た売上資金は世界10か国を対象に280種類のビジネスを通して洗浄されているという。

 また米国の麻薬取締局(DEA)によると、シナロアが米国市場で活発な動きをしている背景には、DEAとシナロアとの間で取り引きがあったという。その内容とは他のカルテルの動きをシナロアはDEAに密告する。その代わりにシナロアの米国市場での密売に寛大さをもってDEAは対処するというものだ。この取り決めはメキシコがフォックス元大統領とカルデロン前大統領の政権時に行なわれたもので、両大統領の政権下でメキシコ国内においてもシナロアとは同様の取り決めをしていたという。

 メキシコそして米国の麻薬取締局から蔭で支援を受けてシナロアは成長したのである。

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