ビジネスホテル集客の肝は満足度の高い朝食にあり!

 近頃、ビジネスホテル(ビジホ)のおもてなし競争がヒートアップしている。疲れを癒す高級ベッドや大浴場の設置とともに、1日の活力源となる朝食サービスに力を入れるホテルが増えているのだ。しかも、その多くはタダ。ホテル評論家の瀧澤信秋氏はこう説明する。 「国内のビジホは、“低廉型”と“付加価値型”に大別できます。そして、宿泊料金が安い“低廉型”のほうが無料で朝食を振る舞い、宿泊料金の高い“付加価値型”のほうが有料で提供するという、ある種の逆転現象が発生しています」  料金の安さで競うことには、おのずと限界が生じる。「出血大サービス」では、稼働すればするほど赤字が拡大するハメに。そこで、 “低廉型”でありながら、「タダの朝食付き」という付加価値で差別化を図ろうとしたわけだ。 「私の記憶が確かならば、全国チェーンでの元祖は東横イン。“低廉型”に属する他の全国チェーンもこれに追随し、無料朝食合戦が繰り広げられています」(瀧澤氏)  タダゆえに、かけられるコストには限界が生じる。このため、どうしても質素なメニューとなりがちだが、企業努力でとても無料とは思えないレベルの朝食を味わえるホテルもあるという。具体的には、瀧澤氏が挙げた下記の表の4つのホテルだ。その中でイチオシはルートインだという。
ルートイン

ルートインは’08年に全店の朝食を無料化。

「健康的で栄養バランスのいい“家庭の朝ごはん”をイメージし、約 35品目の和洋バイキングをご用意しています。保存料不使用・現地から直輸入のヨーロピアンブレッドや、体に優しいおかゆなど、様々なスタイルに対応する充実のメニューです」(ルートインジャパン広報室・田村氏)  瀧澤氏も次のように評する。 「卵料理や揚げ物、煮物などといったカテゴリーごとに2種類以上の料理をそろえており、タダとはいえ、まったく手を抜いてません」
ルートインの朝食

豊富なメニューで、和食派、洋食派のどちらからも好評

地元の食材や名物料理 とてもタダとは思えない

 さらに、“低廉型”で見逃せないのが独立系のホテルやローカルな小規模のチェーンだ。 「全国チェーンは全店一定のサービス内容である必要があり、クォリティが画一化しがちです。独立系や小規模チェーンの中には、全国チェーンに対抗すべく充実した内容の朝食を提供する施設が出てきています」(瀧澤氏)  その実例として瀧澤氏が挙げたのが表の4つのホテルだ。ホテルココグラン上野不忍副支配人の加藤氏はこう語る。 「5年前のオープン当初から朝食に力を入れることをモットーとしており、パンも焼きたてにこだわっています。ビュッフェスタイルでご提供していますが、連泊のお客様もいらっしゃるので、必ず1品は日替わりメニューにしています。ネット上でクチコミが拡散し、海外のお客様にも好評です」  インバウンドたちも目をつけているとなれば、予約は早めに入れたほうが無難のようだ。瀧澤氏は“低廉型”の無料朝食について次のように総括する。 「全国チェーンで抜きん出ているホテルは、各地の名物料理を供するなどの工夫がうかがえます。独立系・小規模チェーンで光っているところも、地元の食材を用いるなどこだわっており、本当にタダでいいのかと思うほどです」 形態別オススメビジネスホテル一覧 一方、当然ながら有料の朝食の内容は、無料のサービス以上にゴージャスだ。せっかくなら、そちらを味わってみたいという読者のために、瀧澤氏はオススメのホテルを全国チェーンと独立系・小規模チェーンそれぞれでピックアップしてくれた。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=74071
瀧澤信秋氏

瀧澤信秋氏

 大手はどちらも1000円を超える価格設定ながら、クチコミサイト上でも「コスパ最高!」との絶賛する声が飛び交う。独立系・小規模チェーンもかなりのハイレベルだという。その中でも、ひときわ異彩を放っているのがスターホテル横浜だろう。「ホテル内に行列のできる人気テナントが入っており、同店にて宿泊者専用朝食メニューを堪能できる」と瀧澤氏はいう。また、東京大森のホテルバーグランティオスはビジホでありながらルームサービスがあり、自分の部屋で食事を楽しめる。 【瀧澤信秋氏】 ホテル評論家、旅行作家で、ホテル情報専門メディア・Hotelers編集長。’14年度には365日365ホテル宿泊のミッションを実践。
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