“健康コンビニ”を目指すローソンの成功の行方

ローソンが考えるコンビニの果たす役割

 なぜ、ここまでローソンは「健康志向」を強く打ち出すのか。その背景として少子高齢化や核家族化といった社会環境の変化や消費者のニーズの変化があるという。広報の村上氏に話を伺った。 「超高齢化社会は日本にとって避けられない課題ですよね。でも高齢者も健康を意識した生活を送るように気をつければ、生活習慣病の予防もできるはず。高齢化社会を迎える日本人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げ、医療費をおさえるためにも健康で長生きできる仕組みづくりが必要です。また、働く女性が増えた結果、『家事のアウトソーシング化』が進み、コンビニのお弁当やお惣菜に頼る人も増えています。生活者に密着したコンビニだからこそ、『食と健康』という社会の問題解決に向けて、ローソンとして貢献できる領域での活動・施策を積極的に実行していきたいです」  健康志向型コンビニのナチュラルローソンでは、管理栄養士のアドバイスにより、カロリー650kcal以下、食塩相当量3g以下、一日の3分の一の野菜を摂るといった厳しい基準で一食完結メニューを開発している。他にも減塩、低糖質や栄養バランスに考慮した商品を中心に販売し、結果、既存店の売上高が23カ月連続で前年を上回った。今後もナチュラルローソンでつくられた健康関連食品を全国のローソンへ展開する方針だ。 「一方、カロリーなど気にせずお腹いっぱい食べたいというお客様のために、ボリューム重視の弁当も販売しています。特に学校の近くや若い人の利用が多い地域では、そういったニーズが高く、健康関連商品とのバランスを考えた品揃えを心がけています。ご近所のお店としてすべてのお客様のニーズを満たしながら、健康に貢献できる領域での施策を積極的に実施していきたいと考えています」(広報・村上氏) 「コンビニ×健康」の流れは加速している。セブン-イレブン・ジャパンも、昨年長野県との共同企画で塩分や野菜の量に配慮した”健康弁当”を発売した。ローソンは、調剤薬局と提携し医薬品の販売や宅配のほか、介護まで視野に入れたサービスを展開。8月にドラッグストア2社との合弁会社設立を発表したファミリーマートも、JA全農との業務提携で、野菜の直売やカラオケルームを設置した店舗で介護予防教室を開くという取り組みをスタートさせた。 競争の激しいコンビニ業界のなかで、それぞれの”健康戦略”が地域の人にどのように受け入れられていくか。組織再編の動向も気になるところだ。 <取材・文/橋村望 写真/Yuya Tamai>
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会