「虫食い野菜は農薬が少ない」は誤解だった――【農家の窓から】

農薬

無肥料栽培で農薬を使わなくても、ほとんど虫食いがなく白菜が育った

 虫も食べない野菜は農薬たっぷりで怖い、虫食いのある野菜は農薬が少ない“安全の印”……。そう思っている消費者の方々は多いことでしょう。農家である私も以前はそう思っていました。ところが、それは大きな誤解だったのです。

 農家になって最初に無農薬で育てたのが白菜。これは後で知ったのですが、白菜は無農薬で育てるのが一番難しい野菜なのです。そのとおり、虫食いでレースのカーテン状となった白菜が畑一面に……。

「土がやせているからこうなるに違いない」と、堆肥や有機肥料をどんどん施肥したのですが、やればやるほど虫食いがひどくなってしまいます。そんな時、肥料っ気のない場所にこぼれた種から育った白菜には、虫食いがないことに気がつきました。

「もしかすると肥料(チッソ分)が少ないほうが、虫が寄ってこないのではないか……?」

 それからは肥料をできるだけ抑えて育てることにしました。すると、虫食いの害が激減したのです。何度も試行錯誤しながら、現在は無農薬・無肥料で栽培していますが、ほとんど虫食いのない白菜を作れるようになりました。

肥料過多が病害虫を呼び込み、農薬を多量に使う悪循環


農薬

肥料過多になればなるほど、虫食いの穴だらけに。これを抑えるには農薬の使用を増やすしかない

 野菜を育てるのにもっとも必要とされているのがチッソ・リン酸・カリ(理科で習いましたよね)です。中でもチッソは野菜を大きくするのに不可欠とされていますが、なぜ肥料をあげればあげるほど虫が寄ってくるのか……?

 成長に必要な分以上にチッソ過多になると、害虫の好む「アミノ酸」や「アミノ酸アミド」が野菜の体内で発生して害虫が寄ってくる。つまり、虫食いは「安全の印」ではなく「肥料過多の印」だったのです。また、アミノ酸が作られる過程で細胞壁を作るのに必要な糖類が使われ、細胞壁が薄くなりそこから病気も呼び込んでしまいます。

 日本では、農薬に関しては「農薬取締法」に基づき、使用制限などが規制されています。ところが肥料の使用に関しては何の規制もありません。そのため、野菜を大きくしよう、収穫量を上げようと、ついつい肥料過多になってしまうのです。その結果として病害虫を呼び込み、対症療法として多量の農薬を使うという悪循環が起こっています。さらに、余ったチッソ分は土壌の汚染にもつながります。

次ページ肥料を抑えた野菜は虫食いが少なく、農薬の必要性も少ない


この連載の記事一覧

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社扶桑社は一切の責任を負いません

強い米経済指標を受け底堅く推移

 昨日のドル円は、110.178円で取引を開始した後、東京市場の午前においては、リスク選好ムードから一転し円買い優勢の流れとなりました。日経平均株価は続伸して寄り付き一時200円超の上昇となりましたが、ドル円は市場において「超高速処理を利用して自動売買するアルゴリズム取引に絡んだ円買い・ド… [続きを読む]