「円安で好景気は偽り」藤沢数希

円安ドル高傾向が続き、1ドル=110円も突破した。経済の教科書的には、「円安」が進めば、日本の輸出は増え、輸出企業が儲かるとされているが、輸出数量は増えていないという。一方で、円安による輸入物価の高騰という負担がのしかかってくる。本当に円安は我々庶民にとっていいことなのだろうか?

国内に工場は戻ってこない!本当に円安は日本人にとっていいことなのか?【後編】(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

⇒【前編】はコチラ  輸出は増えていないが、輸入にかかる金額は円安のせいで増え続けている。この原稿を書いているとき、日清食品がカップヌードルの値上げを発表した。現在の好景気は、株高などで金融資産を持っている人たちの気分がよくなり、実際にはそうした資産を持っていない庶民も勘違いしているだけなのだ。失業率が低いのは、日本のもうひとつの大問題である、高齢化による労働人口の減少を示しているにすぎない。  円安による好景気は、偽りと言わざるをえないのだ。 【今週の数字】 トヨタの国内生産目標台数 300万台 トヨタは年間約900万台を生産し、そのうち300万台が国内生産目標。日本の雇用に貢献するためだ。しかし国内で売れるのは200万台余りで、すでに過剰な目標である
貿易収支の推移

円安でも日本は貿易赤字が続いている。原発停止による化石燃料費増大も一因だが、 製造業がすでに生産拠点を海外に移転していることが主な理由だ(出所:財務省)

【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」管理人。恋愛工学メルマガも発行する。cakesでは恋愛小説も連載中
ハッシュタグ