【実録チャイナショック】私はこうしてFXで4000万円失った…

8月24日、世界を恐怖に陥れたチャイナショックで市場は荒れに荒れた。その煽りをモロにくらってFXと株で大損した個人投資家から学ぶことは多い。「しくじり先生」に登場いただこう。

崩壊したスワップによる金利生活損切りできず4000万円を失った!

沖田聡氏

沖田聡氏

「証拠金維持金率が下がり、ロスカットが近くなると、パソコンからピーンピーンって音が鳴るんです。今でも頭にこびりついて離れない。抵抗むなしく先日ロスカットされ、1日で2625万円が飛びました……」  辛い投資経験を語るのは、サラリーマントレーダーの沖田聡さん(仮名・50歳)。8月24日、中国経済への不信感からNY市場の株価が1日に1000ドル下がるチャイナショックが起きたことは記憶に新しいが、沖田さんはその“被害者”の1人だ。  大学在学中から投資活動を開始し、投資歴は実に30年。ベテランと言っても過言ではない沖田さんが大穴を空けたのが、FXだった。 「僕がFXを投資の主流として取り組んだのは3年ほど前のこと。’12年は330万円、’13年は370万円、’14年は1800万円のプラス収支となり、絶好調のはずでした。それが今回のチャイナショックで一転して4000万円を溶かしてしまった。10日間は食欲がわかず、ずっとふさぎこんでいました」  いわば、FX界のしくじり先生。どこで、何を間違えたのか―本人の証言を交えながら、紹介したい。

「金利で生活する」夢を追いかけ続けた30年

 ’80年代のバブル期、沖田さんが投資に目覚めたこの頃は、郵便局の定額預金は利息が8%ももらえる時代だった。この原体験が忘れられず、「金利で生活する」という夢を抱くようになる。  投資デビューは、大学在学中。アルバイトで貯めた87万円をもとに、一時払い養老保険や証券会社のゴールド預金に投資した。結果は大成功で、大学を卒業する頃には500万円以上貯まっていたという。そんな沖田さんは’04年にFXと出合うが、本格的に始めたのはここ3年のことだ。 「その頃、周りもFXで勝っていて、それを見てこれはいい、と本格的に取り組むことにしたんです」  そもそも、「金利で暮らす」という価値観を刷り込まれてきた沖田さんがFXをやれば、スワップの高い通貨を選ぶのは必然だった。好んでトレードしていたのは豪ドル、トルコリラだ。 「豪ドルは200枚も持っていれば、1日で1万2000円のスワップポイントがつきます。これが月30日なら36万円、十分暮らせていけるだけの稼ぎになる。トルコリラだって、90枚も持てば1日7200円のスワップがつくわけで、非常に魅力的でした」  豪ドルの値動きが中国経済と密接に関わっている点もやりやすかった。相場が大きく動く指標発表の前に買って後で売る、なんて取引をスキャルピングで繰り返しつつ、上昇局面ではロングしてスワップで手堅く稼ぐ。最初の3年で2400万円ほど勝っていた。 「こうなると勘違いしちゃうんですよねえ。’14年の11月20日に豪ドルは102円まで上がったのだけど、僕はもっと上がると思って200枚、2億円分を買い増した。ところが、とんだ高値つかみでした。ここをピークに、落ち始めていくんです……。100円になって97円になって95円になって。そしてついに8月24日に87円を切ったところで、ロスカットで全滅しました。この日だけで、2600万円超の損失です。4月にも1400万円ほどロスカットされてますから、合計4000万円のマイナスになってしまった」
入出金明細

沖本さんの口座明細。耐えきれず月末に2600万円の出金が決済された

 トレードで何がいけなかったと思うか?と聞くと、声を絞り出すように答えた。 「損切りすれば良かったのだけど。いずれ上がるんだから、それまでスワップで耐えてしまえってね。手持ちの資金をまとめて突っ込んだのもよくないですよね。我流で3年もやってきたから、当たり前のことができなかった」  ロスカットが起きた当日。欠かさず書いている日記にはこうある。 <今まで人を苦しめてきた 悪いことをしてきた 人を傷つけてきた その50年間のむくい。自業自得>  沖田さんが語る。 「チャートも見れない、基礎的な知識もないのに取引を続けてきた結果がこれです。なので、基礎を学ぶために誰かに師事しようと思い、45万円支払ってマンツーマンレッスンを受けることにしました。資産はほぼなくなりそうですが、今度こそ腕を磨き、勝ち組トレーダーとしてまた復活したい。また取材されるように頑張りますよ」  チャイナショック以降、極端に目減りした資金でも、1日3万円程度の利益を上げられるまでに回復したという沖田さん。不死鳥のごとく蘇るのか。追ってまた、リポートしたい。
歴史的大暴落

1日でドル円が6円もの歴史的大暴落。中国経済への不信感が募った末に起きたチャイナショックでは世界同時株安が勃発。為替もドル円が1日で122円台から116円台へと歴史的な急落。

【沖田聡氏】 ’65年生まれ。大学在学中にアルバイトで貯めた元手87万円を500万円までに増やすも、詐欺にあったり株ですったりとボラティリティの高い投資家生活を送る。大損失について妻には知らせていない ― チャイナショックの負け組猛反省会 ―