日本でもツイッターなどで話題になったH&Mのセーター
「アグリー・クリスマス・セーター」というものをご存じだろうか。
パッと見、クリスマスカラーを使った、クリスマスらしいデザインやイラストが入ったセーター? 確かにそれはその通りなのだが、それに加えて思わず、「何これ、ダサっ!」と言ってしまいたくなる趣味の悪いデザイン。それがアグリー・クリスマス・セーターのことだ。
これが今、アメリカでブームになっているのだ。
火付け役となったのは、芸能界のセレブやプロスポーツ選手たちだった。始まりは今から3~4年ほど前だろうか。誰もがツイッターや写真投稿サイトのインスタグラムを使用するのが当たり前のようになった時期と重なっているのだが、例えばツイッターでフォロワーを多数持つ有名プロスポーツ選手がクリスマスシーズンに家族らと楽しく過ごしている様子の写真をツイッターやインスタグラムにアップした。ファンはそれを見て「うわっ、何このセーター、ダサい!」という反応が起こり、それがたちまち拡散されて話題になった。そうした話題はツイッターやインスタグラム内だけにとどまらず、スポーツ専門サイトで話題ものの記事となり紹介されることが多いため、さらに多くの人の目に触れ広まって……というわけだ。
セレブやスポーツ選手はダサさがウケて話題になることを面白がり、我も我もとダサいセーター=アグリー・クリスマス・セーターを着て投稿するようになり、こうしてブームは始まった。今では雑誌やネットのセレブ情報サイトなどで「有名人のアグリー・クリスマス・セーター特集」としてまとめて紹介されることも多くなったほど。
ブームは有名人からさらに一般の人たちの間にも広がり、クリスマス前のショッピングシーズンには街のショップにアグリーなセーターが並び、今冬のNYも、週末のストリートではサンタクロースの赤い帽子を被ってアグリー・セーターを着込んだコスプレイヤーの姿を見かける。アグリー・クリスマス・セーターを求めてNYのマンハッタンを歩いてみると、あるわあるわ。ファッションの最先端が集まるソーホーでは、東京・高円寺のビレッジバンガードのようなバラエティグッズショップにアグリーなセーターを着たマネキンがある。遊び心たっぷりのショップらしくその悪趣味度はかなりのもので、便器に座っているサンタの大きなイラストが胸に描かれたド派手なセーターや、フンをしているトナカイのイラストが胸に描かれたセーターなどが並んでいた。
もちろん、、ソーホーのようなサブカル系の店だけではない。
マンハッタンの中心部にあるマンハッタン・モールのショップには、今できのファッションを並べたブティックでもとにかくケバケバしいセーターが並んでいる。さらにJCペニーなどの大型量販店にも、大きなイラスト入りの派手なアグリー・セーターがハンガーに吊され売られていた。
⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=71682
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これくらいなら着やすそう
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だいぶハードルが高い
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壁に掛けておいたら意外とかわいいかも
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この辺も着やすそう
一般消費者にとってアグリー・クリスマス・セーターは、最初はウケ狙いでクリスマスパーティーに着ていく程度のものだったが、最近は日常でも着用する人が増え、それにともなって市場も拡大。今や「アグリー・クリスマス・セーター」が一つの産業カテゴリーとして成り立つようになってきているという。シカゴ・トリビューン紙によると、ディスカウント情報サイトを運営する米国グルーポン社が今シーズンに販売したアグリー・クリスマス・セーターが昨年の同時期と比べ10倍の売り上げを記録しているそうだ。
この人気に敏感に反応している米国スポーツ界は、オフィシャルライセンスのアグリー・クリスマス・セーターを販売し始めており、今や大人気商品に成長。ショッピングシーズンが始まる11月末の「ブラック・フライデー」にネットショッピングで最も人気だったのはNFLのアグリー・クリスマス・セーターだった。あるスポーツ関連グッズ製造販売会社は、今年だけで30万枚のセーターの販売見込んでいる。アグリー・クリスマス・セーターは爆発的ブームになってきているのだ。
ただし最近は、何でも無理やりアグリー・クリスマス・セーターに結び付けるという傾向もなきにしもあらずで、人気男性歌手のジャスティン・ビーバーがクリスマスらしい模様が入った普通に格好の良いデザインのセーターを着ていても、アグリー・クリスマス・セーター特集の中で紹介されていたりする。ビーバーの人気とアグリー・クリスマス・セーターのブームにあやかった便乗商法なのではと勘繰りたくなるが、実際のところ何が「アグリー」か、はっきりとしたガイドラインがないため、見ようによっては、ということなのかもしれない。
昨年くらいから日本でも早い人はチェックしており、今年は日本のSNSでH&Mがアグリー・クリスマス・セーターを販売たことが話題になっており、さらに知名度を増していた。
ハロウィンもだいぶ定着してきた今、果たして日本でこのアグリー・クリスマス・セーター、定着していくだろうか。<取材・文・撮影/水次祥子>