ジュゴンだけではない! 米軍基地移転先・辺野古沖の絶滅危惧種は262種

 沖縄の米軍普天間基地の移転先とされている名護市・辺野古沖の大浦湾。絶滅危惧種ジュゴンの生息地でもあることから、環境保護団体などが基地建設に反対している。実は、この海域には国の環境影響評価で確認されているだけで、ジュゴンをはじめとして262種もの絶滅危惧種が生息しているのだという。

防衛省「ほかの絶滅危惧種(の保全)はこれから……」

国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンは、安倍首相に宛てた国際署名「辺野古・大浦湾を海洋保護区に」約2万9000筆を防衛省担当者に手渡した=11月25日

 今年11月25日、国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンは、安倍首相に宛てた国際署名「辺野古・大浦湾を海洋保護区に」約2万9000筆を防衛省に提出した。  この時に署名を受け取ったのが、防衛省で辺野古沖での工事を担当する普天間代替推進グループだ。その際、NGO側が省担当者に「ジュゴン以外の絶滅危惧種の保全で、環境省との情報共有を行っていますか?」と質したところ、「今後行う可能性もある」との答えが返ってきた。ジュゴン以外の絶滅危惧種に関して、環境省と情報共有していないというのだ。  沖縄防衛局がまとめた環境影響評価(アセスメント)では、大浦湾一帯に生物5334種もの生息が確認されている。この内、絶滅危惧種はジュゴンのほかにアカウミガメとアオウミガメ、ベニアジサシ、ヤドカリ他節足動物、海藻類など262種だ。  国はこれらに関して「工事の影響が出たとしても、対策を講じるので最小限にとどまる」との姿勢を取っている。

海藻類の移植は「成功した試しがない」!?

大浦湾の海底でジュゴンが海草を食べた跡。大浦湾に生息する絶滅危惧種はジュゴンだけではないが、その存在はあまり知られていない(写真提供:NGO「北限のジュゴン調査チーム・ザン」)

「従来のアセスメントでは『環境影響はない』と押し切るのが当たり前だったが、最近は『対策するので問題ない』という風に手が込んできている」。湿地の保全・再生のために活動するNPO「ラムサール・ネットワーク日本」の花輪伸一さんはこう話す。花輪さんは辺野古沖アセスメントを「基地建設ありき」と指摘している。 「ジュゴンが注目されているのは、生態系における『象徴種』だからです。ジュゴンが生息できるように環境保全すれば、結果として他の種も守ることができるという考え方です。これに対して、国は『アセスメントに加えて(辺野古沖での工事を環境面で監視する)環境監視等委員会も設けたので問題ありません』という立場です」(花輪さん)  ところが、この委員会の委員4人が、工事請負業者側から報酬を受けていることがわかった(http://www.asahi.com/articles/ASHBK54G2HBKUUPI001.html)。しかも環境監視委員会の運営を行う企業は、アセスメントの調査業務を受注した企業であることも明らかとなっている(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=137955)。アセスメントや環境監視等委員会の公平性や中立性が疑われる事態となっているのだ。  花輪さんは「サンゴや海藻類は、『今ある場所からはぎ取って別の場所に移植する』と国は言っていますが、海藻類に関してはこれまで移植に成功した試しがない。他の種に関してもまったく期待できません」と指摘している。<取材・文・撮影/斉藤円華>