なぜ、タイのパタヤでは看板に「ロシア語」が併記されているのか?

近隣の島へのフェリー時刻表。英語よりもロシア語が上にある

 タイは国際的な観光大国で、田舎の街でも東京以上に外国人をよく見かける。  出入国者数で見ても、日本は2014年度の入国者数が1415万人レベル(法務省発表の統計参照)に対し、タイ政府観光庁およびタイ観光・スポーツ省発表の同年の入国者数は約2481万人にも及ぶ(2015年は11月20日に2600万人を超えた)。人口は全土で6700万人レベルと少ないので、より外国人が目立った存在になる。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=69349  国籍別で見ると中国がダントツに多い。多い国でもせいぜい100万人台に対して、中国は400万人を超えている。これは台湾と香港の旅行者を除いた、あくまで中国本土の国籍保有者の入国者数だ。マレーシアも260万人を超える。これは南部で国が接しており、休暇やビジネス、買い出しでの往来が多いため、延べ数が大きくなる。中国は隣接していないにも関わらず渡航者数が異様に多い。  それほど中国人が多いので観光業界にとっては中国人旅行者は見逃せないビジネスチャンスなのだが、バンコクに最も近いビーチリゾートのパタヤは2010年ごろから少し様子が違ってきている。ロシア人の観光客が爆発的に増え、それに伴い中国語だけでなく、ロシア語の看板が多くなっているのだ。中国人は団体で歩き、大きな声で話しているのですぐにわかるが、ロシア人はその他の国の白人に紛れて目立たず、ざっと見た感じではそれほど多いようには見えないのだが、実は国籍別の統計を見てみると、ロシア人の入国者数は2014年で160万人と日本人よりも多いほどだ。しかも、ヨーロッパや南北アメリカ諸国のタイ入国者数で100万人を超えているのはロシアしかない。イギリスやドイツなどタイ好きが多い国でも90万人台に留まっているのを考えると「かなり多い」と言える。  一体ロシア人はなにをしにタイに来ているのか。バンコク在住のタイ人女性と結婚した40代のロシア人N氏に訊いた。  次ページ「ロシア人はパタヤかプーケットを目指す」では、ロシア人男性によるロシア人のタイでの過ごし方に迫る。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM)>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など