子供たちの宿題。親はどう関わるべきか?

 子供たちの夏休みも後半戦。学齢期の子供を持つ家庭では、そろそろ「大物」の宿題に焦る頃だ。昨今の夏休みの宿題と言えば、計算や漢字の復習ドリルに日記類(毎日日記、絵日記、観察日記等)、自由研究、読書感想文と親世代とほとんど変わっていない。なかでも「自由研究」や「読書感想文」はその自由度の高さから親のサポートも必要な「大物」である。

写真はイメージです。

 たまにはじっくり子供と向き合って勉強にもつきあってあげたい。そう意気込んでも、つい、「そうじゃなくて……ちがうでしょ。そんなんじゃ終わらないよ」など余計なことを言ってしまい「もういい!自分でやる!」と子供のやる気を削いでしまったりケンカになったりする。  そんな親子のコミュニケーションを円滑にするコツとは。子育てへのコーチング活用を勧めるWinWin育成協会の上野氏に聞いてみた。 「コーチングは人のやる気や能力を引き出すコミュニケーション技術。基本が分かれば仕事にはもちろん、子育てに活用できますよ。」  コーチングの基本スキルは「承認(ほめる)・聴く・質問」という。シンプルで、結構できていると思うこともある。1つずつ、確認しながら「夏休み」に取り入れてみよう。  まずは「承認」。存在を認められると、信頼関係ができ心のエネルギーが湧く。親子なら当然という部分もあるが、時間のある夏休みこそ日頃の成長や手伝ってくれたことを認め、言葉にして伝えたい。ポイントはなるべく、結果ではなく努力、成長や影響を伝え自己肯定感を持たせること。「うまく書けたね(結果)」より「何回も書き直したことがすごいと思うよ(努力)」「前より早く準備できるようになったね(成長)」「習いごとを頑張っているのを見ているとお母さんも元気が出るわ(影響)」と伝えると、エネルギーが湧きやすい。  次に「聴く」。つい何かをしながら耳だけ貸すこともあるが、態度でも聴くよう心掛けたい。ポイントは自分の経験や価値観に当てはめずに、相手(子供)の考えていることを最後までそのまま聴くこと。多少間違っていたり、親の考えと違っても、ありのままを興味を持って聞いてもらうと「受け止めてもらった」ように感じてもっと話したくなると上野氏は言う。「どうしていいかわからない気持ちなんだね」「やりたいことがいっぱいあって宿題を後回しにしちゃったんだね」と子供の気持ちを代弁することで、子供自身がこのままではまずいと気づくきっかけになる。  最後は「質問」。目的は、自分が知りたいから質問するのではなく、相手(子供)に考えさせるために質問する。例えば家族で海水浴に行ったという日記を書くにも、子供の中で言語化されていない情報や感情を意識して考えさせるようにするのが重要だ。「それから何をしたの?」「海の中はどんなだった?」「そのときどう思ったの?」「何が一番良かった?面白かった?」「新しい発見は?」「失敗したことは?どうすれば良かった?」人は質問されると答えたくなるもの。自分の発した言葉の中から気づき、「じゃあこのこと書いてみる!」と宿題にぱっと取り組むことができれば、半分以上成功である。  勉強のできる人ほど「親に勉強しなさいと言われた記憶はない」という。 「なんで学童で宿題やってこないの?」「今まで何やってたの?」と問うのではなく「何時から宿題をする予定?」と主体的な言葉を引き出す質問で子供たちをサポートし、良い習慣を身につけさせていきたい。  きっと夏休みが無事終わる頃、親も子育てだけでない達成感を感じられるだろう。<取材・文/HBO取材班>
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