’15年はアメリカの利上げによる株価下落が警戒されているが、株価に影響を与える経済指標は金利動向だけではない。株式市場はさまざまな経済統計や指標発表の結果の影響を強く受け変動している。
教科書的には、景気の強さを示す経済指標の結果が出れば株価の上昇要因となり、逆に弱い結果であれば下落要因となるが、現実の値動きはそう単純ではないので注意が必要だ。
世界銀行やJPモルガンのエコノミストを歴任した経済評論家の中丸友一郎氏は「株価を上昇させる条件としては、市場関係者の予想を上回っていることが必要」と指摘する。
たとえば、経済指標が良い結果であっても、市場予想までは届かなかったり、すでに良い結果を織り込んで株価が上昇していれば、結果を受けてネガティブサプライズあるいは材料出尽くしとなり下落することもある。
逆に、それほど良い数値でなかったとしても、市場予想を上回っていたり、株価が悪い結果を織り込んで下落していたりすると、ポジティブサプライズあるいは悪材料出尽くしとして株価は急上昇することもあるのだ。
重要な経済指標の発表日時と市場予想は、経済ニュースや証券会社、FX会社のウェブサイトなどでも確認できるので、値動きと合わせて次の4つの重要指標はチェックしておきたい。
【FOMC(連邦公開市場委員会)】
アメリカの金融政策を決定する会合で、日銀の政策委員会に相当。市場の注目度は最も高く、特に今年は年内の利上げ発表が予想されることから必ずチェックしておきたい。
【非農業部門雇用者増減数】
いわゆる「雇用統計」。農業以外の産業で働く雇用者数の増減を示す統計で、毎月第一金曜に発表される。株価や為替相場に与える影響は大きく、瞬時に大きな値動きをすることも。
【GDP(国内総生産)】
国の経済規模を表す国内総生産で、総合的な景気判断に役立つ。「市場予想と離れたサプライズには、株価が大きく反応する傾向が強い」(中丸氏)
【CPI(消費者物価指数)】
毎月15日に発表されるインフレに関する指標。インフレ率は経済政策を左右する重要な数値だ。
【中丸友一郎氏】
マクロ・インベストメント・リサーチ代表。世界銀行やJPモルガンを経て現職。最新のデータを駆使した経済分析に定評がある
― [アメリカ株]便乗投資の鬼テク大公開 ―