[再生エネルギーファンド]3つの魅力

原発事故を受けて、全国で地域主体の電力会社を立ち上げる動きが盛んだ。「再生エネルギーファンド」は、そうしたプロジェクトへの投資を募り、配当をつけて戻す仕組み。リスクが少なく、銀行に預けるよりもずっとお得で、お金の使い道を自分で決められる。密かに注目を集める「再エネファンド」の最前線をリポートする。

長期的に見れば再エネは「安定」

風力発電「再エネファンド」とは、太陽光発電や風力発電などの再エネ事業を進めるための資金を募集し、数千万、数億円規模のお金を集めて設備を設置するというもの。多くはその発電所の売電収入が入ると、毎年元本の一部や配当が送金されるシステムになっている。  売電収入や出資者への配当はそれほど莫大にはならないが、株などに比べれば毎年安定して一定の収益が入ってくるうえに、出資したら後は預けっぱなしなので手間もかからない。  出資金額としては一口10万~50万円の間が一般的で、配当率はおよそ2~3%程度になっている。50万円出資して年率2.5%であれば、10年で12万5000円、20年で25万円のプラスが出ることになる(※振込手数料や諸経費などは業者や銀行によって異なるので、ここでは割愛)。余剰資金を銀行に預けておくよりよほどお得だ。再エネファンドには、大きな魅力が3つある。  最大の魅力は、「出資」といっても株式などと違い投機的な要素が少なく、「かなり安定している」ということだ。もちろん、地域が壊滅するほどの大災害が起きるリスクはゼロではないし、エネルギー関連の法律が大幅に変更になったり、発電状況が悪化することで予定していた配当を下回る可能性もある。しかし「金融商品」としては、債券や株式市場にのっているわけではないので、価格変動のリスクはない。実際、ここに紹介した市民出資事業はいずれも10年以上の実績があり、すべての事業で予定通りの配当を出してきた。また「再エネは不安定」という誤解もあるが、太陽が出ない日が数日続いても、20年の長期で見れば逆に安定した数値が出ることは証明済みだ。  2つ目は「投資先を選べる」こと。通常の投資では、出資先は選べてもどのように運用されているかわからないし、何に投資するかという決定権を持つことなどできない。再エネファンドでは、どの地域のどんなプロジェクトに出資するかが明確なので安心なうえに、それが地域の経済効果をアップさせることにつながるケースが多い。多くの事業者は「地域経済の活性化」も目的に掲げていて、大企業ではなくできるだけ地元の工務店などに工事を発注することが多くなっている。  3つ目は、その投資先が「環境」や「社会の持続性」など意義ある投資になっていることだ。地域の10年後、20年後を考えた事業に投資するという「社会貢献」がセットになっている。  再エネファンドへの出資には注意点もある。20年以上のプロジェクトになるので、多くのファンドが10~20年程度は元本が還ってこない。そのため、短期間でお金を増やしたい人には向かない。当分使う予定のない資金が銀行に預けてあり、長期的に安定運用したいという人にはオススメといえる。  再エネを地域で広めるためにお金を募るプロジェクトは他にもある。「出資」ではなく、ソーラーパネル設置費用の一部を負担して、売電収入を得るタイプのものだ。小額で短期間から始められるものもあり、手軽に参加できる。また、売電収入で得た資金をさらに地元産業に再投資するプロジェクトもあり、これも地域活性化に貢献できる。地域のためにお金を使い、配当も得るというスタイルの投資は、これからのトレンドになっていくかもしれない。 ― [再生エネルギーファンド]のススメ ―