株式銘柄選びの基礎知識。「高収入イケメン男vs貯金好き地味男」どっちを選ぶ?

皆にモテる高年収イケメンと、地味だか貯金がある男

貯金

男の価値をどこで計るか

 こんにちは。独立系ヘッジファンドのファンドマネージャー・絵馬です。  男のモテ期というのは人によって異なるかもしれません。 ・小学生の時は、足の速い男の子がモテました。 ・中学生の時は、少し不良な男の子がモテました。 ・高校生の時は、部活やバンドで活躍している男の子がモテました。  そしてオトナになると、高年収の男がモテるようです。(ただしイケメンは永遠にモテつづけているようです。)  オトナのみなさんはお金のある男が好きかもしれませんね。ここに2人の男性を仮定します。どちらが魅力的ですか?? ①芸夢 作男さん(げいむ つくるお・32歳・独身) 職業:渋谷にあるスマホ向けゲーム会社プログラマー 年収:1500万円 貯金:300万円 学歴:新大久保の近くにある私立大学 住居:湾岸のタワーマンション 乗っている車:中古のポルシェ 好きな飲み物:シャンパン ②古伊賀 健治津さん(ふるいが けんじつ・33歳・独身) 職業:群馬の土木建築会社の総務 学歴:地元の県立大学 年収:350万円 貯金:4000万円 住居:実家暮らし 乗っている車:営業用の軽自動車(ダイハツ)を自由に使っている 好きな飲み物:水道水  芸夢さんと古伊賀さん、どちらがあなたのタイプですか??  多少の好みの差はさておき、おそらく芸夢(げいむ)さんのほうがモテると思います。古伊賀(ふるいが)さんは全然モテないでしょう。なぜなら職業や年収ばかりが注目され、芸夢さんは派手でカッコよく見え、古伊賀さんの堅実さやコツコツ貯めている貯金額に気づかないからです。

年収が高いことより大事なのは純資産

 普通に会話していると年収がいくらなのかというのが金持ちの基準で話されていることが多いと思います。いわゆる男の3高も高身長・高学歴・高年収です。  ところが年収よりも注目すべきなのは重要なのは「資産」のほうです。  野村総合研究所では金融資産が1億円以上を富裕層、5億円以上を超富裕層と定めています。  実は、本当に大事なのは資産であるにも関わらず、未だに「年収がいくらか」という議論が多いように思われます。そして、他の人より少し年収が高いだけで男のモテ度が上がっているような気がします。  そして驚くべきことに、同じことが株式市場でも起きています。

企業価値は2つの価値で成り立っている

 はじめに、企業の価値は2つの価値から成り立っていることを覚えておいてください。それは収益価値と資産価値です。  収益価値とは企業がその経済活動によって生み出す利益から成る価値のことです。例えば、毎年1億円の純利益を生む事業を持つ会社の価値は20億円くらいでしょうか。これは年間収益の20倍くらいが事業価値だろうという判断で計算した場合です。  難しい言葉で言えば、PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)が20倍とも言えます。(ちなみに現在の日経平均のPERは約18倍)人間で言えば、年収1000万円の男は2億円くらいの価値だろうというものです。  資産価値とは企業が持つ純資産の価値です。企業は現金や有価証券、土地や建物などの資産を保有しています。その資産額から、借入金などの負債を差し引いた額が純資産となります。  例えば、資産が100億円で負債が30億円であれば、純資産価値は70億円だということです。  人間でいえば貯金の金額と言えるでしょう。  企業の価値はこの2つの価値以外はありません。  さて、ここで、2つの会社の例を見てみましょう。 ① フラジャイル・ファンタジー(SNSサイト運営会社) 予想純利益:5億円 純資産:10億円 時価総額:100億円 ② 大江戸工業(老舗の茶器メーカー) 予想純利益:2.5億円 純資産:100億円 時価総額:50億円  フラジャイル・ファンタジーは年間5億円の利益予想を出し、時価総額は100億円です。対して大江戸工業は半分の2.5億円の利益予想であり、時価総額も半分の50億円です。しかしながら大江戸工業は純資産100億円あるのですが、それは無視されているかのような価格です。  これは明らかな割安状態です。このような会社に投資するなら損する可能性は極めて低いと言えるでしょう。

資産の値をまず見なさい

 上記の例のような、予想収益のみに注目した価格決定がなされることは株式市場でしばしばあります。年収の高い男ばかりがモテて、堅実に貯金を貯めている低年収男は見向きもされていないのとまさに同じことです。  どうせあなたはルックスもスタイルもそこまで良くないのだから、高年収のモテ男を追って遊ばれて終わるよりも、堅実な貯蓄男とまじめなお付き合いするべきです。  そして同様に、投資銘柄選びも豊富な資産があるにも関わらず割安に放置されている株を買うべきなのです。  しかしながら相手が男であれば貯金通帳を見れば事足りるのですが、企業の場合はもう少し細かい資産分析が必要です。この点は非常に重要なので次回以降さらに詳しく説明します。  それではまた。【了】
【ジョン・ポール・絵馬(じょん・ぽーる・えま)】 独立系ヘッジファンドのファンドマネージャー。 東京大学卒。外資系投資銀行で勤務後、独立系ヘッジファンドでファンドマネージャーに就任。運用責任者として日本市場に対する投資を行う。好きな音楽はビートルズ。 記事提供:ムーラン (http://www.mulan.tokyo/) 新世代のビジネス・ウーマンのためのニュースサイト。「政策決定の現場である霞が関、永田町の動向ウォッチ/新しいビジョンを持つ成長途上の企業群が求める政策ニーズを発掘できるような情報/女性目線に立った、司法や経済ニュース」など、教養やビジネスセンスを磨き、キャリアアップできるような情報を提供している
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