急激に勢力を拡大する中国スマホメーカー、品質はどうなのか?

中国スマホ01「Xiaomi」「Oppo」「OnePlus」「Meizu」、これらの名前を聞いたことのある方はいるだろうか? アジアのスマートフォン業界に明るい読者ならピンと来たかもしれない。そう、これらは中国新興のスマートフォンメーカーのブランド名だ。一昔前ならノーブランド製品が乱立し「低価格・低性能・低品質」の代名詞だった中国のAndroid端末メーカー。これらがここ数年で急激に勢力を拡大しているのだ。  まだまだ端末のキャリア包囲色が強い日本では感じられないかもしれないが、その勢いは今や米国や日本、韓国を追い越す勢いとなっている。今までの「安かろう悪かろう」のネガティブなイメージから、「安かろう良かろう」へ脱却しようとする中国独立系新興メーカー。SIMロック解除時代の今、今後本格参入することもありうる、これらのメーカーの特徴、機種の紹介をしていきたいと思う。

中国のAppleと言わしめた新興メーカーの風雲児「Xiaomi」

 Xiaomiは2010年に設立され、今もっとも中国で成功しているスマートフォンメーカーだ。その販売手法はAppleと同様、年間平均一種類の端末のみを販売し、それらを大量生産することにより、高スペックと低価格を実現している。  また、OSにはユーザーの要望を徹底的に取り入れたAndroidベースの独自フォークOS、MIUIを搭載し、Androidと完全な互換性を保ちつつ、より使いやすさを求めたもとのなっているのが特徴。端末の傾向としてはローエンドからハイエンドまでを網羅し、非常にバランスの取れたラインナップとなっている。 【Xiaomi Mi4】 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=46633
中国スマホ02

実売価格(16GB)300ドル前後(37,000円前後)

2014年7月に発表されたMi4は大ヒットとなった前作Mi3の後継機となる機種。5インチフルHDのIPS液晶という形態はそのまま残し、CPUをSnapdragon800(2.3GHzクアッドコア)+RAM2GBからSnapdragon801(2.5Ghzクアッドコア)+RAM3GBにグレードアップ、カメラも前作の8MPカメラからソニーのExmorRS 13MPに強化されている。さらに、3080mAhのバッテリーを組み合わせたまさにハイエンドモデルである。もちろんLTEに対応し、GPSやBluetoothその他機能に抜かりはない。  先日のSnapdragon810機種の連続投入でスペックとしては半世代前のものとなっているが、その価格とスペックの両立、そしてMIUIを含めた各種カスタムROM完成度はさすがと言わざるをえない。  デザインに関しても、多少iPhone5を意識しているきらいはあるが、清潔感のあるデザインとなっており“中国のApple”と言わしめた開発力は、さすがと言わざるをえない。

音響メーカーの技術力を生かし独自色を打ち出す「Oppo」

 Oppoは広東省に籍をおく2004年設立のAV機器メーカーだ。元々はmp3プレーヤーを中心とした機器の開発・生産を手がけるメーカーであったが、2008年にスマートフォン製造に参入、今日に至るという経歴を持っている。  Oppoの製品は基本的に単純な高スペックを目指すものではなく、音響機器メーカーとして高品質なサウンドチップ・筐体のデザイン、さらには自撮り用にカメラを反転可能にするなど、独自色を打ち出している。  そして筆頭するべきは薄型化への情熱だ。なので今回の機種紹介ではあえてフラッグシップ機は紹介せず、薄型をウリとするR5を紹介したいと思う。 【Oppo R5】 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=46634
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実売価格(16GB)459ドル前後(57,000円前後)

2013年に発売され、当時、最薄を謳ったスマートフォンFind5 X909の後継にあたる機種がこのR5だ。  スペックはCPUがSnapdragon615(1.5GHzオクタコア)+RAM2GBとミドルスペッククラスではあるが、驚くべきはその薄さで、わずか4.85mmしかない。この薄さを実現するために、イヤホンジャックの搭載を見送る事にしたほどなのだ。(※しかし高品位のワイヤレスオーディオレシーバーが付属する)  この後にBBK Vivo X5Max(4.75mm)、更にcoolpad(宇竜計算機通信科技)の開発したIvvi K1 Mini(4.7mm)に記録自体は更新されてしまったのだが、まだまだ全体のバランスでは負けていない。(※なおcoolpadにはメーカーがバックドアを仕掛けているという情報もある)スペックはミドルでも他の端末にはない特徴を求めたい、そんなユーザーにオススメの一品だ。

Oppoからのスピンオフ、Nexusキラーの「OnePlus」

 先述のOppoから更に違う方向性を前面に押し出していきたいという理由からOppoの元幹部Pete Lauが独立、スピンオフ企業として2013年に設立したメーカーがOnePlusである。  設立当初から「Never Settle(現状に満足するな)」のスローガンを掲げ、広告などで他社メーカーを真っ向から皮肉る挑発的なメーカーだ。  しかしその技術力は確実にOppoから引き継いでおり部分的にはそれを超える。2015年6月段階では、まだリリースされている機種は後述One一種だけではあるが、これからの動向が非常に注目されるメーカーだ。 【OnePlus One】 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=46635
中国スマホ

実売価格(16GB)249ドル(31,000円前後)

2014年4月、Nexusキラーとして登場したのがこのOneだ。ターゲットとして設定されたNexus5より一回り大きい5.5インチフルHD液晶を採用したこの機種の最大の特徴は、高品質と低価格の両立だ。  OSにはAndroidを独自に改良を行うカスタムROM開発プロジェクトCyanogenMODを市販機として初めて標準搭載し、Snapdragon801(2.5GHzクアッドコア)+RAM3GBというハードウェア構成でそれらを稼働させている。  筐体設計もアルミフレームとプラスチックフレームを巧みに組み合わせた見事な設計で、この端末をこの価格で実現したというのは、驚異的と言わざるをえない。  デビューから既に一年以上経っているため、スペックとしてはすでに旬を過ぎてしまっているのは否めないものの、価格と性能のバランスを考えると優良端末と言っても過言ではないだろう。

中国最大手商取引サイト「アリババ」資本でハイエンド層を狙う「Meizu」

 2003年に設立されたMEIZU(魅族科技)もOppo同様mp3プレーヤーなどの電子機器を生産していたメーカーだ。  2008年にスマートフォン業界に参入、当時はエントリークラスのいわゆる「iPhoneもどき」のモデルを生産するにとどまっていたが、2011年にデビューしたM9より独自路線を展開。サムスンのGalaxyシリーズに採用されるCPU、Exynosを前面に採用することによりハイエンド志向メーカーとなった。  2015年2月には中国最大手商品取引サイトアリババより5億9000万ドルの出資を受け、アリババが開発するAndroidベースの独自OS、YunOSを採用し、アリババの流通ネットワークにて流通が行われる見込みとなっており、そのハイスペック志向と大規模商品流通ルートからマーケティング力において一気に浮上する形となった。 【Meizu MX4】 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=46636
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実売価格(16GB)385ドル前後(48000円前後)

2014年11月に発売された当モデルの特徴としてまず筆頭すべきはその性能の高さだ。MediaTek MT6595(1.7GHzオクタコア)+RAM2GBという他にはない特異な構成となっている。  スマートフォンの性能を測る上で、事実上の標準計測アプリとなっているAntutuベンチマークではスコア52,000という驚異的な数値をたたき出しており(同時期発売のXperiaZ3で45,000前後)、スペック比でいえば圧倒的な数字となっている。  無論CPU周りのスペックだけではなく3100mAhの大容量バッテリーにカメラも20MPのSony ExmorRSを採用、死角のない仕上がりとなっている。スペックこそが命、そんなユーザーにはたまらない仕上がりだ。 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=46637 中国スマホ06 急激に伸びを見せる中国のスマートフォン業界。入手方法は個人輸入しかない上に、テクニカル面での問題、GooglePlayが利用できないなど、導入へのハードルは高い。しかし「安かろう悪かろうのノーブランド機」の時代は脱却したと断言してもよいだろう。  キャリア主導型の端末開発という保護市場を貫いた結果、初期のスマートフォン開発において世界で惨敗した日本の端末メーカー。数年後、中国メーカーが本格参入した時、はたして日本のメーカーは生き残ることができるのだろうか? <文・図版/村野裕哉> 【村野裕哉】 PowerMacとWindows98で育った平成生まれのガジェッター。趣味の旅客機を眺めつつHTML/CSS/Javaなどを中途半端にかじって育つ。ブログなどでレビュー記事を執筆中。twitter : @anaji_murano