「スメハラ」? 「ミドル脂臭」? 男の評価を一変させる新たなキーワード

暑いうえに湿度の高い梅雨時は、汗をかきやすく体臭が気になる時期。においが原因のトラブルを、近頃は「スメルハラスメント(スメハラ)」と呼んでいる。昨年4月下着メーカーのセーレン株式会社が行った調査では、「職場で異性の体臭や汗のニオイに不満を持ったことがありますか」との問いに、77.6%が「ある」もしくは「少しある」と回答しており、身近な問題になっている。

あの後頭部のにおいは、加齢臭ではない?

 体臭というと、つい「=加齢臭?」と思ってしまいがちだが、ネガティブなにおいはそれだけではない。いわゆる汗臭さのにおい『汗臭』や、後頭部からのアブラっぽいにおい『ミドル脂臭』なども代表的な男性の体臭。とりわけミドル世代(30~40代)の男性は、ミドル脂臭への気配りが必要だと男性用化粧品製造販売のマンダムは分析する。 「弊社の調査によると、女性の89%がミドル脂臭を『不快』と回答しているのに対し、加齢臭の不快度は27.5%に止まっています。また、男女とも、年齢が若いほど不快に感じる人が多いという結果も出ています」(マンダム・PR)  では、ミドル脂臭を抑えるにはどうすればいいか。 「ミドル脂臭は、汗に含まれる乳酸菌が代謝してできた『ジアセチル』と皮脂由来の『中鎖脂肪酸』が合わさることで発生します。主に後頭部付近に生じるため、日々のシャンプーが重要です。じつは、ミドル世代の男性は若い男性に比べ皮脂がかたくなっていて、カンタンな洗髪では脂が残りやすい。洗浄力の高い、いわゆる男性用シャンプーで隙間なく頭皮を洗浄することがミドル脂臭予防の基本です」(マンダム・研究員)  ちなみにその他のにおい対策で言うと、汗臭は、汗と皮脂を菌が代謝分解することがにおいの原因となるため、殺菌・防臭効果のあるデオドラント剤でわきの下をケア。加齢臭は、主に胸や背中で発生する皮脂成分の酸化によるにおいなので、体幹部を中心に消臭効果のある洗浄剤を使用したり、ボディ用のシート剤でこまめにふき取る。それぞれのにおいの特徴にあった方法でのケアが必要だ。

女性がにおいに敏感なのは、心理学的に理由がある

 先日開催された「ニオイ セミナー~なぜ、女性はすぐに『クサい!』と言うのか?~」では、東北大学准教授・坂井信之氏が、心理学の観点から、男女のにおいの感じ方の違いについて解説した。

東北大学准教授・坂井信之氏。

「女性は、心理学的に男性より共感能力が高い。何か問題が起こったとき、男性が解決策を考えるのに対し、女性は、自分が感じていることに共感してくれる人を求めます。においに置き換えると、においに直面したとき男性は『くさいな』と自分の中で考えるのに対し、女性はまわりの人に『くさいね』とシェアしたくなります」(坂井氏)  また、においによって喚起された快・不快は、相手の印象に影響を与えることが心理学的にわかっているという。 「『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』ということわざのようなことが、起こります。不快なにおいがあり、それを発するAさんがいて、自分がいる。不快なにおいが嫌だと、Aさん自身に嫌なところがなくても、嫌いに思える、という関係です」(坂井氏)  2013年に、湘南美容外科クリニックが「恋人にするなら『臭いイケメン/美人』『いい匂いのブサイク/ブス』どちらですか?」という恐ろしい調査を行っている。調査自体もさることながら、その結果も63%の女性が「臭いイケメン」よりも「いい匂いのブサイク」を支持したという。この結果とは対照的に、男性は62.5%が「臭い美人」を選んでおり、においが印象に与える効果の性差による違いが見てとれる結果となった。  その人の持つ個性のひとつに止まらず、他の評価にも影響を与えてしまう体臭(におい)。理不尽ではあるが、そういうことが起こってしまうという現実を見据え、スメルマネジメントを行うことが得策のようだ。 <取材・文/齋藤純子