中国で高値で取引される日本製ヒト胎盤薬とは?

お金にものをいわせて“日本買い”を進める爆買い中国人。そこに個人でも商機があることはあまり知られていない。購買意欲旺盛な彼らにネット転売で高く日本製品を売りつけろ! 中国 今年1月には京都府警が化粧品などを中国に個人輸出し、1000万円を稼いだ大学職員の中国人女性を逮捕。昨年10月にも兵庫県警が、大量の紙おむつを中国に輸出したとして調理師ら中国人男性3人を逮捕している。いずれも容疑は「在留資格外活動」で、その後、中国に強制送還。越境ECの担い手だった中国人たちが活動できなくなれば、合法的に取引できる日本人にとってはチャンス到来というわけだ。 「5月末には淘宝を展開するアリババグループとヤフージャパンの提携が発表された。最初は同グループが手掛けるBtoCモールでの日本企業の出店支援ですが、日中間の越境EC取引がますます促進される可能性がある」(大亀氏)  爆買い中国人を横目で見るだけではなく、彼らに高値で売りつけてみるのもいいかもしれない。

不良医師が横流し!? 高値で取引される日本製ヒト胎盤薬

 中国に転売される日本製品には、非合法なものもある。ヒト胎盤を原料とした注射薬もその一つだ。  中国では、人間の胎盤は美容効果があるとされてきた。だが、産婦人科医による胎盤の横流しや感染症などが問題となり、’11年頃から流通が規制された。そこで注目を浴びたのが、日本のヒト胎盤由来注射薬だ。  特定生物由来製品であるこの注射薬は、医療機関において投与されることが定められている。しかし、ある中国人転売業者は話す。 「日本の複数の医師が横流ししている。50アンプルを4万円台で仕入れ、中国では10万円前後で取引されている。非合法ではあるが、利ざやが大きいからやめられない」  厚生労働省はこうした事態を把握しているのか。監視指導・麻薬対策課に問い合わせてみたところ、広報担当者は「ヒト胎盤薬だけに特定した供給量と消費量のデータがないので、横流しされているかどうかわからない」と答えるのみ。今後も野放し状態は続きそうだ。 ●ヒト胎盤薬[4万円→8万円] 中国の医薬品ECモールに出品された日本のヒト胎盤由来注射薬。2倍の値がついていた 【大亀浩介氏】 コンサルタント。キャストコンサルティング取締役。日系企業の中国におけるマーケティングや、Web戦略・運営の支援を行い、中国のECサイト事情にも詳しい 【柴田耕太郎氏(仮名)】 越境EC転売ヤー。都内在住の会社員として働きながら、副業として中国製品の輸入ヤフオク販売を展開していたが、円安の進行で方向転換。越境転売で600万円を稼ぎ出す 取材・文/奥窪優木
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