Appleが各OSの刷新を発表。ここが注目ポイント

iOS9_01 毎年恒例のAppleによる開発者向けイベント「WWDC 2015」が6月9日の深夜2時(日本時間)に開催された。新端末の発表はなかったが、ソフト・サービス面での発表があり、iPhoneユーザーは、早くもこの話題で盛り上がっている。そこで今回は、新OSの注目のポイントを紹介していく。

各種OSの発表が相次ぎ期待大!

 今回のWWDCでは、Mac OS、iOS、Watch OSという3つのOSがそれぞれ刷新されたというのが大きな話題。順番に変更点をみていこう。  まずは次期Mac OSから。名称は「OS X El Capitan(エル・キャピタン)」となり、Safariやメール、Spotlightといった基本機能が強化される。派手な仕様変更はなさそうだが、デスクトップ内の複数ウィンドウを自動でリサイズしたり、カーソルを振るとサイズを大きくして見つけやすくするなど、日常的な使い勝手に直結する機能やジェスチャーが充実する。パフォーマンスの向上も見られ、アプリの起動やPDFを開く時間も高速化しているようだ。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=44891 iOS9_02 次にiOS 9だが、iPhone 4s・iPad 2以降のものに搭載できるため、今後幅広いユーザーに利用されそうだ。また、インストールに必要な容量も、わずか1.3GBとコンパクト化され、この点は多くのユーザーに歓迎されそうだ。  話題となっているのが、iPad向けに追加されたマルチタスキング機能と、キーボードのジェスチャー機能だ。複数アプリを同時に動かすことができるマルチタスキング機能は、iPad Air・iPad mini 2以降の機種で対応している。  2画面を分割し同時に複数アプリを表示できる「Split View」も発表された。便利そうな機能であるが、利用できるのが現行機ではiPad Air 2のみと、対応機種の少なさはやや残念なところだ。  他にも、Siriの認識強化、ユーザーの行動や興味を学習しSpotlightやSiriを強力にアシストするProactive Assistant、MAPアプリの乗換案内対応や、News StandからNewsアプリへの移行、Apple Payの利用拡大など、話題は豊富なのだが、果たしてどれだけの機能が日本向けに対応するのかが未確定だ。  このイベントでは触れられなかった機能では、AndroidからiOS 9に簡単に移行ができるツール「Move to iOS」がリリース予定だ。連絡先やメッセージ履歴、写真、動画、音楽などが無線で転送できるという。  小粒ではあるが、省電力モードの搭載や、6桁のパスコードによるセキュリティ強化などもあり、今後、まだまだ新たな機能が増えそうそうだ。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=44892 iOS9_03 最後に、Apple Watch用のWatch OSもバージョンアップする。これまでネイティブアプリには対応していなかったが、これでWatch単体でのアプリ開発も可能になる。これまではiPhoneとセットでないと使えなかったApple Watchだが、近い将来、単体で利用できるようなれば、ますます魅力的になるだろう。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=44893 iOS9_04

新サービスとなる音楽配信は日本でも開始される見込み

 イベント終盤には、Appleが提供する音楽配信サービス「Apple Music」の発表も。定額で音楽が聞き放題となるサブスクリプション型のサービスで、アメリカでは月額9.99ドルで提供されるという。ファミリープランも用意し、14.99ドルで家族6人まで利用可能。3カ月間の無料キャンペーンも用意する。  サービスは6月30日に開始予定で、世界100カ国が対象となっている。おそらくは日本でも提供される見込みなので、ぜひ試してみたいサービス。既存のサービスと比べてみるのも楽しみだ。

他社の後追いと酷評も……

 今回の発表では、派手なテクノロジーよりも、従来機能の強化やサービスを重視したApple。厳しい見方をすれば、どこかで見たことのあるような内容の発表が多かったのは事実だ。反面、GoogleやMicrosoftがIoTに力を入れるなど、新しい戦略を打ち出していることもあり、「期待はずれ」という意見も出てきている。iOSの一部機能など、日本では対応しない可能性のある機能が多く含まれている点も気がかりだ。  しかし、技術先行でも実際に利用シーンが少なく消えていく機能が多いなかで、Appleが今回発表したOSのユーザーインターフェース強化は、実は重要なポイントのように思われる。  今回追加された機能の数々が、どれだけ快適に使えるものなのか、実際の製品で触れてみれば、また違った驚きがあるのかもしれない。 <文・図版/小枝祐基 Twitter:@k_eda【小枝祐基】 スマートフォンやPC関連の取材・記事執筆を精力的に行うライター。白物家電やデジタルガジェットなどのレビューもこなす。共著に『docomo iPhone 6 Plus 完全活用マニュアル(ソシム)』『Pepper スタートブック(SBクリエイティブ)』など。