訪問した各国で大盤振る舞いを約束した李克強首相
2015.05.29
中国のラテンアメリカにおける影響力が日に日に増大している。
中国の李克強首相が5月18日から26日までブラジル、コロンビア、ペルー、チリを歴訪した。その中南米訪問は中国の米大陸攻略の本気度をまざまざと見せつけられるものだったのだ。
スペイン紙「エル・パイス」が報じたところによれば、コロンビアでも中国の存在感は増している。曰く、<コロンビアとは10年前に比べ両国の貿易量は15倍増えたという。コロンビアは農畜産業はまだ充分に開発されていない。中国が必要とする食料の開発の余地は充分にある。今回の中国首相の訪問で、オリノキア地方のメタ川に添うようにベネズエラと繋がる道路建設が決った。またメタ川の航海を可能にして、内陸での農畜産業の発達を図る開発も約束された。そして太平洋に面したブエナベントゥラ港の開発である>と報じている。
コロンビアのサントス大統領は、<「中国の支援によって、ブエナベントゥラ市が蘇ることになる。我が国にとって、これは発展の重要な起点のひとつになってくれる」>と期待を込めて述べたという。
またコロンビアは革命軍と長年闘争を続けて来た。その内戦状態が、現在サントス大統領のイニシアティブで革命軍と和平協議がキューバで進められている。中国はこの協議が合意に至ることを願って、<平和達成後の復帰資金として800万ドル(9億8,400万円)をコロンビア政府に寄付した>というのだ。(http://internacional.elpais.com/internacional/2015/05/22/actualidad/1432265846_682258.html)。
さらにペルー訪問でも中国は気前が良い。ペルー紙『ラ・プレンサ』の報道では、<ブラジルと繋ぐ大陸横断鉄道の建設についてウマラ大統領と確認し、更に6つの合意を交した。ペルーには中国から資源開発での投資が多く、190億ドル(2兆3,370億円)をこれまで資源開発資金として投資している>という。
⇒「AIIB参加を決めたカナダと親中度を増す南米。この意味するもの」に続く
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
コロンビアでは内戦終結後の復帰資金まで約束
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