中国の外貨準備が9か月で2600億ドルも減少したことで見えた懸念点【後編】

中国人民銀行が4月14日に発表した3月末の外貨準備高は3兆7300億ドル(約446兆円)。依然として世界最大を誇るが、2600億ドルも減少したことが明らかに。また、米国債の保有額では世界2位に転落したことも明らかになった。そこから浮かび上がる3つの懸念とは? 闇株新聞氏が裏側を探った

世界最大を誇る中国の外貨準備が9か月で2600億ドルも減少したことで見えた3つの懸念【後編】

(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏) ⇒【前編】こちら 上海 そして3番目が中国人民銀行のドル売り・人民元買い介入の可能性である。過去、人民元は「不当に」安い水準でドルに固定されていたが、’05年からはドルに対して緩やかに上昇して外貨流入を一層加速させていた。中国政府が人民元の値上がりを保証していたようなもので、人民元は’14年1月に1ドル=6.04人民元の高値をつけた。  ところがそこから下落を始め現在も1ドル=6.25人民元台である。これは中国が人民元のこれ以上の上昇を望んでいないことになるが、今まで人民元を「不当に」安い水準に維持していた中国にとっては矛盾する。  しかしドル売り・人民元買いの介入がなければ人民元が急落してしまい、中国から外貨が一斉に引き揚げられる恐れがあることになる。つまり中国経済とは、外貨流出に苦しむブラジルやトルコ経済と似た状態になっているのかもしれない。 【今週の数字】 9か月で減った中国の外貨準備高 2600億ドル 円換算で約31兆円もの外貨準備を減らした中国。人民銀行は外貨準備の構成を開示していないので真相は明らかになっていないが、ユーロの下落が影響した可能性も 【選者】「闇株新聞」氏 闇株新聞’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」や’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事を書いて話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。現在、単行本『オリンパスの光と影』(仮題)を執筆中 写真/産経新聞社
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