認知度の低い[マイナンバー銘柄]に妙味
2015.04.29
’16年1月にスタートするマイナンバー制度。一般的な認知度はまだまだ弱いが、株式市場では今年最大のチャンスとなりえるホットな話題のひとつだ。一足先に仕込む秘策を専門家に聞いた。
税と社会保障の共通番号、いわゆるマイナンバー制度が’16年1月にスタートする。国民一人ひとりに12桁の番号を割り当て、社会保障や税の手続きを効率化するしくみだ。
「マイナンバーはIT業界を中心に、『2000年問題』以来の規模となる莫大な特需を生み出すと考えられます」
そう期待を寄せるのは、カブ知恵の藤井英敏氏だ。
「なにしろ、赤ちゃんからお年寄りまですべての日本在住者に番号が割り当てられ、氏名、住所、年齢、年金や納税の記録、証券・銀行口座、医療情報などあらゆる情報がひも付けされて管理される。このシステム構築にかかる費用は3兆円ともいわれており、波及効果も含めればIT関連を中心とした企業が受ける恩恵はさらに大きくなります」
これほどのインパクトある新制度にもかかわらず、国民の認知度は低い。株式市場でも昨年10月の「黒田バズーカ第2弾」から日経平均株価は急上昇しているにもかかわらず、IT関連の新興企業が多いマザーズ市場は低迷しており、日経平均株価を構成する大企業に株価の上昇率の面では大きく後れを取っている。
それでも、年明けに政府がようやくマイナンバー制度をPRするテレビCMなどを打ち始めたところ、会社四季報などに「マイナンバー」のキーワードがある一部の新興企業に買いが集中。株価は倍以上に急騰する銘柄も現れた。
「マイナンバー相場」の第一幕が切って落とされたのだ。
「今回の相場はいったんは終了しましたが、関連銘柄への本格的な資金流入はこれから。今後もチャンスは何度でも訪れます」と藤井氏は予想する。
しかし、投資はまだ時期尚早と言う慎重派も。兜町でも定評のある株式アナリストのX氏は、「現状は、単なる思惑での散発的な上昇にすぎない」と警戒する。
「現時点ではまだ法整備の段階で、現実に本格的な発注が始まっているわけではない。しかも他の投資テーマと違い、マイナンバー関連の仕事を受注する可能性があるIT企業は株式市場にごまんとあります。今回急上昇した銘柄の中には業績の悪い企業もあるので、飛び乗るならあくまでマネーゲームと割り切るべきでしょう」
それでも、今後の投資戦略という点では、積極派の藤井氏と慎重派のX氏の間で意見は一致している。関連銘柄のシンボル的な存在として力強く上昇する「リーディングストック」といえる銘柄が登場すれば、出遅れ組もけん引しながら実績の伴った本格的な上昇相場が始まると予想する。
それがいつなのか、どの銘柄なのかは誰にもわからない。それでも藤井氏は「早ければ4月中旬から5月にかけての本決算の発表シーズンにチャンスが来るかも」と予想する。
「業績予想でマイナンバー関連の受注を見積もる企業が登場するかもしれません」(藤井氏)
⇒【後編】「[マイナンバー銘柄]は移動平均線の押し目買いでOK」に続く http://hbol.jp/35500
【藤井英敏氏】
カブ知恵代表。日興証券、フィスコを経て’05年にインターネット株式情報サイトのカブ知恵を創業。大型株から超小型株、IPOまで幅広くウオッチし、個人投資家に役立つ、投資情報を提供している
【X氏】
株式アナリスト。テーマ株や新興株、IPOに強い新進気鋭の日本株アナリスト。独自のリサーチ力と、歯に衣着せぬ鋭い分析に定評があり、業界関係者や機関投資家からも一目置かれている存在
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