ちょいブスとばかり付き合ってしまいます――【石原壮一郎の名言に訊け】
2015.03.15
Q:今まで付き合ってきた女性は、ちょいブスばかりです。内心では「こいつより、同僚のAちゃんのほうがかわいい」と思っていても、いちばん付き合いたい女性にはアプローチできません。結局、手近なちょいブスに手を出して、「もっといい女がいるのに」と少し不満を感じながら付き合います。相手に失礼だし、それだと幸せはつかめないってこともわかっているんですが……。(石川県・28歳・金融)
A:もしかしたら、この人は「ちょいブスなら、俺がその気になれば、どうにでもなる」と遠回しに自慢しているのでしょうか。全国のちょいブスのみなさんは、立ち上がって激しく怒っていいと思います。ただ、ここで立ち上がってしまうと自分がちょいブスだと認めることにもなるので、そのへんが難しいところですが。
「かわいい」だの「ちょいブス」だの、世間の基準で判断する必要はありません。自分が好きになった相手こそが「いちばん好みの顔」だと言い切るのが、大人の気概であり幸せをつかみとる大人の貪欲さです。そもそも顔なんて、男にせよ女にせよ、その人を構成するたくさんの要素のうちのひとつでしかないので、その程度の適当な認識で十分です。
【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。
いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
ともあれ、相談者は今の自分は不幸だと思っているようです。仮に、当人が言う「いちばん付き合いたい女性」にアプローチして、首尾よく付き合うことができたとしたら幸せになれるのでしょうか。ここを読んでいる多くの方が感じているように、きっとそんなことはありません。そうなったらそうなったで、「世の中にはもっといい女がいるのに……」とブツブツ言い出すのがオチです。
いつも元気なふなっしーは、ツイッターでこんなことを言っていました。
【足らないものより恵まれたものを数えてヒャッハーするなっしー♪】
百歩譲って相手が「ちょいブス」だとしても、嫌いな相手と付き合うわけではないし、それなりに楽しいはず。この人は、自分では気づいていないだけで、じつは「ちょいブス」こそが好みのタイプなのではないでしょうか。そうじゃないとしても、「自分はちょいブスが好きなんだ」と思えば、たちまち「とても恵まれている人」になれます。
「ちょいブス」とのご縁に恵まれていることを自覚して、思いっきりヒャッハーしてください。梨汁でも何でもプシャーとすればするほど、たくさんの幸せがつかめるでしょう。ただまあ、いくら「ちょいブス」をリスペクトしたところで失礼は失礼ですけど、順調に愛が育まれれば「ちょいブス」かどうかなんてどうでもよくなるに違いありません。
ふなっしーは【ないものねだりは不幸の始まりなっしー!】とも言っています。見た目がかわいかったり美人だったりする女性が「いい女」と限らないということは、(見た目しか取り柄がない女性以外は)誰もが気づいているはず。相手の女性に対しても、自分自身の恋愛の傾向に対しても、ないものねだりをするのではなく、現状を全力で肯定しましょう。ないものねだりをすることで「俺は本当はこんなもんじゃない!」と背伸びしている気になるのは、けっこうみっともないプライドの持ち方です。
【今回の大人メソッド】好きになった相手こそが「いちばん好みの顔」である
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