「東京都には五輪を開く資格がない」と厳しく批判した丸山知事
記者会見に臨む丸山達也・島根県知事(島根県のウェブサイトより)
責任のなすりつけ合いで「
GoToキャンペーン」の中断が遅れ、第三波感染爆発を招いた
菅義偉首相と小池百合子知事が、自らの失敗を反省しないままに第四波を招きかねない五輪開催を強行しようとしている。
「コロナウィルスに打ち勝った証」として、五輪を開催した勢いで総選挙圧勝を狙う魂胆が見え見えだが、これに「待った」をかけたのが
丸山達也・島根県知事だ。
2月17日の「五輪聖火リレーの中止検討」発言で一気に注目された丸山知事だが、1週間前の2月10日の会見ですでに、五輪の開催反対にまで踏み込む“過激発言”をしていた。
厚労省に出した積極的疫学調査の実態把握を求める要望書について聞かれた丸山知事は、
「1週間経っても無回答状態だ」と不快感を露わにした後、30分にわたって政府と都の対応を批判、
「都には五輪を開く資格がない」として開催反対の考えを明言したのだ。発言を引き出した『読売新聞』は同日の配信記事でこう紹介した。
「(会見で丸山知事は)東京都が新型コロナウィルスの感染経路を調べる『積極的疫学調査』を簡略化しているとして、『五輪を開く資格がない』と批判した。都は疫学調査を病院や高齢者施設などに重点化している。丸山知事はこうした対応について、感染経路の調査が不十分になると懸念を示し、『大都市の感染拡大で、島根も飲食店や宿泊業者が大打撃を受けている。五輪を東京で開いて感染が拡大し、同じことをされたらかなわない』と述べた」
島根県の要望書は、感染抑制には「積極的疫学調査」が不可欠にもかかわらず、東京都が簡略化(縮小)したことを問題視。厚労省にその実態把握と結果報告を求めるものだった。ところがこれに対してゼロ回答状態であったため、丸山知事の堪忍袋の緒が切れた。この時の、菅政権と小池都政への強烈な問題提起が発端であったのだ。
丸山知事発言について小池知事に質問するも、無言で立ち去る
都知事会見中の小池知事
しかし2日後の2月12日の小池知事会見で、都政への異議申立といえる丸山知事発言について質問した記者はゼロ。そこで会見終了直後、3年以上も指されない“記者排除”を受けている筆者は、小池知事に向かって大声を張り上げた。
「島根県知事は『五輪反対』と言っています。『都には(開催する)資格がない』と言っていますが?」
しかし小池知事は、この日も無言のまま会見場を立ち去った。
なお丸山知事は、五輪開催の景気浮揚効果を認めながらも
「感染拡大を招くリスクもあわせて開催の可否を判断するべきだ」という立場であり、
「現在の都や政府のコロナ対応では再び感染拡大を招く恐れがあるため、開催には反対」と訴えているのだ。
また丸山知事は、東京都の積極的疫学調査の簡略化(縮小)だけでなく、小池知事の「千代田区長選」(1月31日投開票)での街頭演説も2月10日の会見でこう問題視していた。
「最終日19時半からの飯田橋駅の西口前で、(小池知事は)大勢の人を集められた中で演説をされているようです。緊急事態宣言のさなか、不要不急の外出自粛を強く都民に求められている中で、都知事のお仲間の当選のためにこういう行動をされていることも信じがたい。そして、これが大きな問題になっていないこと自体が二重に信じがたい。『都に対する社会的チェックがまったくきいていない』ことをメデイアとかを含めて反省するべきだと思う」
筆者も2月12日の配信記事
「自ら『密』状態を作っても千代田区長選の応援をした小池都知事」で、最終日の飯田橋街宣で「密」状態になっていたことを写真つきで紹介、会見で小池知事が密状態を否定する虚偽答弁をしたことも合わせて批判していた。
その1週間後の2月19日の小池知事会見でも指名されなかったので、「丸山知事の問題意識と同じだった」と思いながら、小池知事に対して声かけ質問をした。
「島根県知事は、千代田区長選の“密集街宣”も問題にしていますよ。『密』状態だったことを認めないのですか。(丸山知事は)『都へのメデイアチェックがきいていない』とも言っています。ちゃんと10日の(丸山)知事会見を読んだのですか?」
小池知事は、無言のまま立ち去った。